一般的に「みかん」と呼ばれるものは、正確には「温州みかん」というものです。
大きく分類すると「早生品種」と「普通品種」に分けられ、細かくは「宮川早生」「青島温州」などさまざまな品種があり、「紀州みかん」「三ケ日みかん」「愛媛みかん」など産地名がブランド化しているところもあります。「温州みかん」と「温州」の文字がつくところからも分かるように、気候が温暖な地域でおいしい「みかん」が採れます。
*みかんの栄養価……約6つで1日分のビタミンC
*機能性表示食品としてのみかん……骨の健康に役立つ成分も含まれる
みかんは「機能性表示食品」のひとつです。みかんに含まれるβ-クリプトキサンチンが骨の健康に役立つとして表示が許可されています
これは、温州みかんに豊富に含まれているカロチノイド色素の一種であるβ-クリプトキサンチンが「骨代謝のはたらきを助けることにより、骨の健康に役立つ」ということで許可を受けています。
β-クリプトキサンチンはプロビタミンA、すなわちビタミンAの材料だと考えてよいでしょう。β-クリプトキサンチンには、プロビタミンAとしての働き以外にも、がん、循環器系疾患、糖尿病などの生活習慣病の予防効果などの生体調節機能があることが明らかになっています。
*みかんの食べ過ぎ: 皮膚が黄色くなる柑皮症
「みかんを食べ過ぎると手が黄色くなる」でも結論から言うと、健康への害はありません。
みかんの色素はβ-クリプトキサンチンなどのプロビタミンA。すなわち油脂に溶けやすい「脂溶性」です。そのため、皮膚の表面近くにある体脂肪に溶け込むことで、皮膚が黄色く見えてしまうのです。
見た目で驚いてしまうかもしれませんが、柑皮症になったとしても、内臓など他の部位への健康に影響するような問題はありません。これといった治療法はありませんが、みかんのシーズンが過ぎてみかんのドカ食いをしなくなれば、通常の皮膚の色に戻っていきます。
他にも、プロビタミンAであることが多いオレンジ色の色素を多く含む、かぼちゃやにんじん、ほうれん草、オクラ、ブロッコリーなども食べ過ぎると柑皮症の原因になります。基本的にはオレンジ色の食品の食べ過ぎに気をつければよいのですが、過去に「焼き海苔」を食べ過ぎたことで柑皮症になったという事例もあるようですから、症状が出た場合には、特定の食品を食べ過ぎていないか確認してみるとよいと思います。
ただし、あまりに黄色が濃い場合は食品色素が溶けるための脂肪がたくさん存在しているという意味になります。場合によっては「脂質異常症」を疑う必要があるかもしれません。脂質異常症は生活習慣病の入り口として非常に怖い症状です。冬季にみかんを食べ過ぎて手が黄色くなった人は、健康診断などでチェックを欠かさないようにしましょう。
また、柑皮症と黄疸の見分け方ですが、眼球の白目の部分が黄色くなっているかどうかで判断できます。白目の部分が黄色くなっていなければ黄疸ではなく、柑皮症であることがほとんどです。しかし、特にお酒も好きだという場合は、念のため病院を受診するのがよいでしょう。