有用植物利用と健康(18)~笹(クマザサ)~
有用植物利用と健康(18)~笹(クマザサ)~
タケとササの簡単な見分けかたは、タケノコが成長するに連れて竹の皮が次々に落ちていくのがタケ、竹の皮がいつまでも残っているのがササです。
名前がタケでもヤダケ(矢竹)やメダケ(女竹)は竹の皮がいつまでも残って桿を包んでいるのでササで、名前がササでもオカメザサは竹の皮が成長するにつれて落ちるのでタケだそうです。
ささの葉 サラサラ のきばにゆれる お星さま キラキラ 金銀砂子(すなご)
五色のたんざく わたしが書いた お星さま キラキラ 空から見てる
七夕さま(権藤花代、林柳波:作詞、下総皖一:作曲)
*イネ科ササ属、耐寒性常緑多年草(低木)、原産地:中国
*ササ(笹)の花言葉:ささやかな幸せ。
*ササ(笹)の誕生花:7月7日
*クマザサの効能
クマザサは、中国でも明の時代から民間薬としてよく知られ、日本古来でも万能薬として使用されていました。秋から冬にかけて葉のふちが枯れ、白い隈取りができるので「隈笹」と名付けられたのが由来です。
笹団子、ちまき、笹寿司など日本料理にも多く利用されてきましたが、これは、風味の向上以外に、クマザサに含まれるバンフォリンという成分に防腐効果があるためで、免疫力の向上にも役立つとも言われています。
クマザサには、多数のミネラル・ビタミンB群・ビタミンC・ビタミンK・フラボノイド・葉緑素・必須アミノ酸・植物繊維など、各種有効成分がバランス良く豊富に含まれています。
クロロフィルも多く含まれ、コレステロールや血圧を下げたり、貧血改善、整腸作用、抗ガン作用など多くの効用があるとされています。また、健康食品としてだけでなく、皮膚病や切り傷など外用薬としての役目もあります。
クマザサは、冬眠をする熊の冬の食料としても効果を発揮しており、クマザサを食べることで越冬能力をつけ、繁殖力を旺盛にしていると言われています。冬眠中の体力はもちろん、冬眠中に排便を行わないために腸や血液が老廃物で汚れるのを、クマザサが解毒するとも考えられています。
その他、止血作用、骨の強化などの効能があるとされ、サプリメントやお茶で親しまれている他、クマザサ石鹸やクマザサ歯磨き粉などのような形で、数多く商品化されています。
*クマザサは万能民間薬
クマザサは日本全国の高山に自生するイネ科の植物です。葉の輪郭に沿って白い隈取りがあります。草丈はよく伸びても1mぐらいです。葉の柔らかいものは、昔からちまき、笹もち、笹ずしなどの包み材料などとして利用されました。民間薬として広く利用されており、昔は皮膚病や胃の治療にも使われていました。
民間薬としては、高山に自生する葉が厚くて硬いものが上物とされています。漢方ではジャクと呼ばれ、老化防止薬として使われています。真冬の寒中、雪中にも葉は鮮やかな緑色をしている事でも広く愛されています。
*クマザサの成分
- 葉緑素
- 強力な抗酸化作用と抗菌効果があり口臭対策成分としてガムなどにも配合されています。コレステロールや老廃物を吸着して体外に排出します。またヘモグロビンをサポートして酸素を体の隅々まで運びます。そのため、貧血の予防効果もあります。
- バンフォリン
- クマザサ多糖体といわれるもので防腐効果、抗菌効果などがあります。細胞膜を強化、再生し、細胞自体も強化します。美肌、美髪、潰瘍修復の効果の他、抗腫瘍作用があるため抗ガン効果が期待されます。
- 安息香酸
- 防腐効果があります。
- カルシウム
- 骨や歯の成分になるほかにも筋肉の収縮や気分を鎮静化する効果があります。
- リグニン
- 難消化の食物繊維なので腸内の老廃物を排出します。肥満防止に役立ちます。
- ビタミンC
- 強力な抗酸化作用があります。
- ビタミンK
- 血液を凝固させます。
- ビタミンB群
- 抗酸化作用など
クマザサの最も大きな効果は防腐抗菌で、この作用があるために携帯食を包むのに利用されてきました。
また、風邪の初期症状や胃腸炎などにも効果があります。抗酸化作用が強いので、疲労回復効果や老化防止などにも効果が期待できます。
クマザサには抗菌作用と血液凝固作用の両方があるので、小さな傷の化膿止めなどの効果があります。ただし、自生しているクマザサの表面にはどのような菌や有害物質が付着しているかわかりません。生のまま傷に張り付けたり噛んだりするのは危険です。
*クマザサ摂取方法
- 青汁は、クマザサの栄養成分をまるごと摂取できます。特に便秘改善効果を期待する人には食物繊維が有効に作用します。
- クマザサエキスはクマザサから抽出したエキスです。
- クマザサ茶はクマザサを乾燥させたものをお茶として飲む方法で、クマザサの成分をお茶の中に抽出します。
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*クマザサのお風呂
現在ではほとんど残っていませんが、昔はお風呂に笹を入れるという習慣が日本全国にありました。なぜ、このような習慣があったのかと言うと、笹には黄金と同じだけの価値があると言われていたからです。
笹は地中深くまで茎を伸ばし、地中深くを流れている水分を吸い上げて成長します。地中深くを流れている水には、地上にはないミネラルや栄養素がたくさん含まれていると考えられてます。竹の成長が異常なほど速いのは、そんな地中深くに溜まっているミネラルや栄養分をたくさん取り入れているからだと考えたのです。
そんな栄養をたくさん含んだ水を吸って成長した竹の葉にもまた、吸い上げた水に含まれる栄養素がたくさん含まれていると昔の人は考えました。そんな竹の葉である笹をお風呂の入れることで、笹に含まれる栄養分がお湯に流れ出して人間の体内に取り込むことができるとされたのです。
昔は黄金、もしくは黄金以上に健康が重視されていました。薬が今ほど簡単に手に入らなかったこともあり、健康であることは黄金以上の価値があるとされていたのです。笹をお風呂に入れることで、そんな黄金以上の価値ある健康が手に入ると多くの人たちが考え、笹にお風呂を入れる習慣が広まったと言われています。
現在、西日本に残っている入浴法
時代の流れとともに、お風呂に笹を入れるという習慣は廃れていきました。笹の代わりに柚子や薬草を入れる習慣が広まり始めたからです。
また、笹をお風呂に入れて得られると言われていた効果は、少しわかりにくいという点もありました。柚子や薬草はもともと薬としても使用されていたため、それをお風呂に入れた方が健康になれるという効果がわかりやすかったのです。
ただ、笹をお風呂に入れるという習慣は日本から完全に姿を消したわけではありません。西日本の一部では、現在もまだ笹をお風呂に入れるという習慣が残っています。なぜ、西日本の一部にだけ笹をお風呂に入れるという習慣が残ったのかはわかりません。ですが、古くからの言い伝えが現在もまだ語り継がれているのです。
*笹をお風呂に入れる効果とは?
笹をお風呂に入れるという習慣は、その効果がわかりにくい、または理解しにくいという点でほとんど残っていません。ですが、昔は健康面で効果があると信じられ、多くの人たちがお風呂に笹を入れていたのです。
では、実際に笹をお風呂に入れると良い効果があるのでしょうか?
*多汗症の人に効果あり
笹をお風呂に入れる、多汗症が和らぐという効果があります。これは単なる言い伝えなどではありません。実際に多汗症の人が笹のお風呂に入ると多汗症が少しずつ改善されます。
かなり時間はかかるようです。毎日お風呂に入るたびに新しい笹を入れると、多汗症は改善されていくでしょう。特に青い笹の葉は効果が絶大ですので、試してみてください。
*脱臭効果がある
笹の葉には葉緑素や多糖類が多く含まれています。この葉緑素や多糖類は、実は脱臭効果や消臭効果があり、脱臭剤や消臭剤の代わりに笹の葉を置くというところもあります。
お風呂に笹の葉を入れても同じ効果が得られます。自分の匂いが気になる方はぜひ、お風呂に笹の葉を入れてみてください。加齢臭だけではなく、ワキガで悩んでいる人も、お風呂に笹を入れたところ改善されたという声が寄せられています。
単なる迷信ではなく、医学的にも証明されていることですから、安心して試してみてください。ただし、すぐに目に見える効果が得られるというわけではありません。じっくり時間をかけて根気強く続けましょう。
*殺菌効果や除菌効果
笹の葉に含まれている葉緑素や多糖類は、消臭効果や脱臭効果があるだけではありません。実は殺菌効果や除菌効果もあるのです。化学薬品が身体に悪い影響を及ぼしてしまう人の中には、笹の葉で作った殺菌・除菌のスプレーを持ち歩いている人がいます。
お風呂に笹を入れても、殺菌効果や除菌効果は得られます。特に病院などでおすすめされているのは、水虫や湿疹で悩まされている人です。笹のお風呂に入ることで、水虫や湿疹が改善されたという喜びの声が寄せられているのだとか。
笹のお風呂は化学薬品ではありませんから、目に見える効果がすぐにあらわれるわけではありません。毎日根気強く笹を入れたお風呂に浸かることで、水虫や湿疹は改善されていくでしょう。
*お風呂に入れる笹は決まっている
笹の効果をより多く引き出すためには、笹の種類にも注意が必要なのです。お風呂に入れると良い笹とはどんな笹なのでしょう。お風呂に入れる笹に注目しての解説です。
*熊笹を使う
日本全国には、さまざまな種類の笹があります。名前に笹とつくものだけでも、「阿亀笹(おかめざさ)」「稚児笹(ちござさ)」「千島笹(ちしまざさ)」「みやこざさ」「うんぜんざさ」など、たくさんあります。
このようにたくさんの種類がある笹の中でも、お風呂に入れると良いとされているのは「熊笹(くまざさ)」のみです。お風呂の入浴剤として笹を原料にしたものが売られています。その多くは原材料に「熊笹」が使われています。
また、昔は日本中でお風呂に笹を入れることが習慣になっていた頃も、その際に使われていたのは熊笹だったそうです。そのため、現在もお風呂に入れると良いとされているのは、熊笹です。
*青々した笹の葉を使用
笹は葉が落ちると茶色くなります。このような色が変わってしまった笹の葉をお風呂に入れても、良い効果はほとんど得られません。
笹の中に含まれている葉緑素や多糖類は、青い葉っぱに多く含まれています。枯れてしまった笹の葉にはこれらの良い効果があるとされている栄養素はほとんど残っていないのです。
そのため、お風呂に入れる笹は青々としたものを使用します。下に落ちている笹の葉を拾う時には、全体的に青々としているものを集めましょう。少し枯れて茶色くなっているのなら、その部分はちぎってお風呂に浮かべてください。すると、笹の栄養素がお風呂のお湯に溶け込んで、嬉しい効果を得ることができるでしょう。
*「緑の環境委員会」の投稿記事で笹で困っているということを知り、笹について調べてみました。薬効は熊笹について書いているのがほとんどでしたが、これは商品化されるほどの薬効ということでもあると思います。たくさんあるのでしたら利用しない手はありません。
普通の細い笹でも試す価値は充分にあると思います。春になって新芽が出てきたら、きれいな緑の笹の葉を採取して、洗濯ネットに入れて笹風呂を試してみましょう。夏の良く繁った笹なら効果も抜群でしょう。お茶も簡単に出来そうです。但し、殺虫剤や除草剤はXです。
*千島笹(チシマザサ=ネマガリタケ):ササタケノコとして食べられている。飛騨や北信濃では標高1200メートル以上のブナ帯・深山にはいって採取している。若い葉を熱湯に入れ、ササ茶にして飲む。健康のお酒、ササ葉酒もできる。
ソフィア