杉本24)読書感想記(C&Sの爆笑ゴルフコンペin台湾)・12号(倶楽部便り)

『CherrieとSweetieの爆笑ゴルフコンペin台湾』

   (白石常介著、角川学芸出版、1,300円)

           ~読書感想記~                 

                           杉本 知瑛子(平成9、文・美 卒)

 前回出版予告を頂いた台湾三田会副会長白石常介様のご著作

『CherrieとSweetieの爆笑ゴルフコンペin台湾』が9月に出版され白石様からご本が送られてきた。

心待ちにしていたCherrie君とSweetie君との再会である。

当然先ず第7章へ・・・ダッシュ!

~「いざ行かん!我らがデビュー戦へ!」~、ダッ!と飛び出すかわいいワンちゃん達!のマンガから読破スタートである。

昨年ご出版された日本酒の本に登場したかわいいワンちゃん達のイラストが、今回はイラストだけでなくわずか16ページであるがマンガに昇格しての再登場である。

やんちゃでかわいいCherrie君に私のかわいいパコちゃん(自宅のかわいい飼い猫)を重ね合わせて、300ページ以上もある大作(昨年の日本酒同様、これまでゴルフに全く興味がなかった人間までもが、またもやワンちゃん達の魅力に引き付けられて読み出すはめに・・・)にチャレンジである。

この本の題名には“爆笑~”が冠されているとおり、読み始めるとゲラゲラ・アッハッハッハと、もう笑いが止まらない。巻末には「よく使用する日台ゴルフ用語(日本語・中国語)」が発音記号にふり仮名付きで掲載してあるし、ワンちゃん達がイラストで登場する箇所のゴルフルール説明についても素人にも少しでも理解できるようにと工夫してあるし...。

ビジネス論・人生論・台湾大好き論、すべてが極めて真面目なものなのに、このゲラゲラ・アッハッハッハとお腹をよじって笑い転げるのはどうして?

そして読み終わった後、自分の生き方をも考え込んでしまうほど、読者の心の中に居座ってしまうであろう作者がいるのはどうして?

“~~「誰でも決してもう遅いということはない」のです。人それぞれスタートのタイミングは異なります。それがただ早いのか遅いのかだけです。”

“~~努力は一生必要です。そうであれば、苦しいと感じながら努力をするより、楽しいと感じる努力をしたほうがはるかに有意義に過ごせます。

ものは考えようです。ミスをするのは人間である以上当たり前。そうであるならば、逆にどんなミスが出るのかを想定し、それを克服する方法を考えて楽しむ。

結果が同じであるならば、苦しんで努力するより楽しんで努力しましょう。~~”

最後のページ「おわりに」の一部分です。

それでは、ゲラゲラ笑い転げる部分も含めて少し紹介させて頂き、皆様にも大いに腹筋運動をして頂こうと思っています。(白石様のご好意に感謝!)

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~以下内容紹介~

 (対抗戦 前夜

待ちに待った対抗戦。その前夜。

まずは、台湾駐在の気心の知れた若者たちが数名集まり、一杯ひっかけながら何やら明日の戦略会議。

辻田

「僕の明日の組み合わせの相手はめっちゃくちゃうまいらしいよ。

もっともかなり生意気だって話だけど!」

小野

「うん、聞いたことがある。かなりの飛ばし屋らしいね。

っていうことはさあ、うまい、生意気、飛ばし屋、から分析すれば、すぐにカ~ッとなる性格じゃあないのかな?

だったら、何か弱点が見つかればいいんだけど」

「私ね、少しだけど彼の奥さんを知ってる。女性の会で知り合ったんだけどね、晩婚で最近や~っと赤ちゃんが

生まれて、彼はすっごく喜んで鼻の下ダラ~ッて感じらしいのよ。

だけど、全然自分に似てないって相当ショックみたい!

私は明日の対抗戦には出ないから、どうしたらいいのか分からないけど」

辻田

「お~っ、ありがと~う、その情報だけで十分!

“子供はかわいいよねえ、当然自分に似ていてさあ!”って、独り言みたいにささやいてみるよ」

梅春

「それいいね!でも嫌みったらしくなく、それとなくね。

ところで、僕のほうの対戦相手はお二人ともかなりの年配なんだ。

人生経験豊富だろ? だから、ちょっとやそっとじゃあ何事にも動じないと思うんだ。プレーも堅実らしいし」

「だったら、小細工は考えないで、“私はまさに青春まっただ中の若者で~す!”、って感じで若者らしく立ち

まわったら」

梅春

「そうだね!自分は経験もあまりないんだから、“少しっくらいミスしても当たり前だ~っ!”、

って感じで開き直ったら自分も気持ちよくプレーできるし、相手も昔の自分を思い出したりして感傷にふけって

プレーどころじゃあなくなるかもね。

一石二鳥か。この場合の鳥は、スズメとカラスかな?」

 

事前の情報はどのような状況であれ、何であれ、大変貴重である。

それを有効に活用できるかどうかは本人のみぞ知る、いや、本人さえわからないこともあるが。

一方、海外からも台湾に駆けつけて来てくれた。

本日は “ 対抗戦の前夜 ”、それとも “ 対抗戦の前夜 ” ? どちらに重きを置くかは人それぞれ。

さあ、今宵は久しぶりにおいしい中華料理を堪能しながら戦略でも練るとしようか。

 

「おおっ、懐かしいなあ!最近は夢にまで出てきた東坡肉(ドンポーロウ:豚の角煮に似ている)だ」

「俺もこれ好きなんだよなあ、甘くて軟らかくってさあ。白飯(バイファン:白いご飯)にのせて食べるとほんとにうまいんだ! 俺、単身赴任だから、毎週土、日は時間があり過ぎてさあ。どっちかの日は昼間はゴルフ、夜は外食と一杯。もう一方の日は1週間分の掃除と洗濯、それと買い出しかな。

以前その買い出しで自分で東坡肉を作ってみたんだけど大失敗!その後は外で食べてるよ」

「自分で作るのって大変だよ、何でも。よくやってるね。

それとこの台湾の生ビール、のど越しが良くっていっくらでも入っていくよな。最近は造ってから18日以内に飲んでくれっていうすげえビールもあるんだって? この店には?」

「先輩っ、どこにでも置いてあるわけではないんですよぉ。残念ですけどここにはないようです。

だけど先輩、あまり飲まないでくださいよ、本番は今日じゃあないんですから。

明日の夜は祝勝会が挙げられるように今宵はほどほどにしておいてくださいね」

「よし、わかった!じゃあ、今宵はビールたったの10本ほどでやめておくか。冗~談!

明日は早いんだろう、何時にスタートだったっけ?」

「6時30分集合、7時スタートです!」

「そっか、日本時間で8時のスタートか!日本からはるばる来たんだから、当然時差も考えてくれるんだろうなあ?」

「酔う前に明日の戦略を考えてください、先輩。お願いしますよ」

「俺にお願いされても困るぜ。う~ん、...そうだな、戦略は簡単、ただ一つ!ボールが二重に見えなきゃあこっちのもんだ! そうだろ?」

「先~輩、このあと二次会にも行かれるんですかぁ?もうその辺で今宵はゆっくり休んでください。明日は大事な戦力なんですから」

「何を言ってるんだね、君は!酒に飲まれてどうするんだ、ええっ?まだまだま~だ俺は何ともねえぞ!お~い、もう一杯おかわり~っ...!」

「あ~あっ、ご飯茶わんでビールを飲んで。口の周りにご飯粒が付いてますよ!

駄目ですよぉ、おはしで枝豆をつまんで、...手が震えてますよ!

あのぉ、先輩のお泊りになるホテルはどこですか?先輩は私がお連れしますから、皆さまはゆっくり食べていてください」

「おお~、わるいなあ、じゃあお言葉に甘えて。このあと別のところで少し飲んでから解散するからさあ。俺たちは大丈夫だ。あとさあ、ついでで申し訳ないんだけど、彼にモーニング・コーヒー、いや、モーニング・コール、じゃあなくてウェイクアップ・コールをしてくれないか。心配なんだよね」

「分かりました。それじゃあ皆さま、明日は頑張ってください!お先に失礼します」

 

その後、日本からの別の参戦者とともにお店を替えて二次会へ...

「あ~ら、お久しぶりねえ~!お元気~?」

「元気でなきゃあここに来ないよ!しかし懐かしいなあ。

これこれっ、この雰囲気、昔とちっとも変わってないよ!」

「相変わらずいい雰囲気でしょおっ?ウイスキーはたしか濃いめでしたわよねえ」

「よく覚えていてくれるなあ。誰かさんのお化粧と同じさ!

でも最近は少し自制してるんだ。少し薄く作ってくれる?」

「はいはいっ、少し薄くですね、頭のように、って今のは独り言! 聞こえなかったでしょう?」

「もう慣れちゃったよ、うちのかみさんと全く同じこと言ってるからさあ。ここに来てまで言われたくないけど!」

「すいませんねえ、ロマンス・グレーの紳士に向かって。でも表情がやけに楽しそう!

日本人は誰でも言うんだけど、台湾に来るとホッとするって、...ほんと?」

「そうだね。古き良き時代の日本にタイムスリップしたみたいだ!」

「ありがと~っ!甘~いチョコレートをい~っぱい持って来るわねっ。もっと甘い話を聞かせて!」

 

こんな他愛もない会話がいつ果てるともなく続き、明日のための戦略会議はどこへやら。

...やれやれ。

 

選手紹介

台湾で年に2回、春と秋に開かれるK大学とW大学のOBゴルフ対抗戦がまた始まった。

ここは台北市内から1時間くらいで行ける名門のゴルフコースである。

本日は薄曇りの絶好の天気。興奮度とともに気温も上昇しそう。汗もほどほど。冷汗は別にして。

 

第1組はK側2名、W側2名の4名でOUTの第1ホールから、暗くなって頭に懐中電灯をつけての夜7時ちょうどのスタート、のはずはない。

気持ちのよい朝7時のスタートだ。

 

まず、W側のメンバーを紹介。

 

・高田氏:・60歳代、以前台湾駐在、日本の商社を2年前に定年退職

・暇を持て余している

・口うるさいがお人よしで面倒見がよい

・世の中のことを知り尽くしている感あり

・パワーはそこそこだが、ボールのコントロールは抜群

・ゴルフに対する洗練されたマナーを有している

・「そうだよなあ」、「駄目じゃないか」、「すごいなあ」

・スコアは80台半ば

・家では本人の居場所なし(妻に邪魔者扱い)

・妻は近所の友人たちとほぼ毎日お稽古事(お酒の楽しい飲み方、主人の賢い扱い方など)

 

・馬場氏:・30歳代、台湾駐在、日本メーカーの台湾子会社に勤務、この会社の初代日本人駐在員

・超元気だが、おっちょこちょいで、明る過ぎる性格

・何にでも興味を持ち、誰からも好かれる

・体育会系の乗りでパワーがあり余っている

・飛ばすことのみに生きがいを感じ、少しくらい(直角に)曲がっても無視

・「そうっすねえ~」、「駄目っすねえ~」「すげえっすねえ~」

・スコアは90台後半

・妻あり、台湾へは単身赴任

・社員たちに丸めこまれること、しょっちゅう

・夜は羽目を外すこと、焼酎、いや、これもしょっちゅう

・どうやって家にたどり着いたか不明で、朝、玄関先で目覚めることもたびたび

 

次に、K側のメンバーを紹介。

 

・三田氏:・50歳代、台湾在住、台湾で貿易会社を経営

・外見は物静かで、どこか冷めている

・冷静に現状を分析する

・ときどきめちゃくちゃ面白い冗談を言う

・パワーはそこそこだが、たま~にものすごく飛ばす

・「そうですかねえ」、「駄目ですかねえ」、「すごいですよねえ」

・スコアは90台前半

・妻と二人で赴任

・妻には頭が上がらない

 

・日吉氏:・40歳代、台湾駐在、日本の建設会社の台湾支店に勤務

・物事をまじめにストレートに考え過ぎる傾向あり

・飛ばし屋

・ときどき頭に血がのぼる

・単純な言動とは裏腹に、実は内に秘める闘志あり

・「そうですね」、「駄目ですね」、「すごいですね」

・スコアは80台後半

・妻と子供2人(小学と中学)で赴任

 

 

OUT6ホール

第6ホールは510ヤード、パー5、ハンディキャップ4の距離の長い緩やかな下りの右ドッグレッグのロングホール。

ティーショットは左のOBを避けてフェアウェーやや右狙い。

2打目は右前方に深いラフがあるため、真ん中よりやや左狙い。

グリーンの奥と左はOB、左右と後ろにはバンカーがあるため、グリーン手前より確実に。

 

打順は、高田氏(W)、三田氏(K)、日吉氏(k)、馬場氏(W)の順。

 

高田(W)

「このホールはほんとにきれいなんだよな。ヤシの木あり、向こうの奥には海あり、思わず南国情緒に魅せられてしまうね!

キャディーさん、前に立ってみて...。うん、そこに立つとすっご~くきれいだよ、後ろに海が見えて!

なんて、日本語は分からねえだろうなあ」

 

キャディー

「きれいノ意味ワカリマス。ダケド、前ニ立タナイト、ドシテきれいジャナイデスカ?」

 

高田(W)

「いやいや、いつもいつもすっご~くお美しい!」

<ヤベ~、よ~くわかっておられる!たぶん別の日本人も同じこと言ってるからだな>

「話題を変えて。はい、じゃあティーショットいきましょうか。キャディーさん、ここのコースは確か長いんだよね?」

 

キャディー

「ワッタシ、ニホンゴ ワッカリマセ~ン!」

 

高田(W)

「ごめん、悪かった。機嫌直してさあ、教えてよ。軽やかな赤い服装でいつもいつもきれいなスタイル抜群の優しいキャディーさん!」

 

キャディー

「その通り。かなり長いですよ!」

 

高田(W)

「あっそう!やっぱりね...。ありがとう...」

 

「「 もう何も言ふことのなき景色なり 芝生・白球・赤い芙蓉花 」」

 

高田(W)

<女性への対応の心得、その一。

まず褒めること。何でもいいから褒める、褒めるものがなくても褒める、徹底して褒める。

以上!

あれ、俺、今何しようとしてるんだっけ。そう、ティーショットだよ!雑念を振り払って、

冷静に。左OB、右林。じゃあ真ん中、って、単純だね!

距離が長いから俺は4オンでいいや。ドラコンはほかの人にくれてやる>

ラック~ン。

 

三田(K)

「高田さんのティーショット、フェアウェーの少し左のいい場所ですね。私は左のOBを避けて」

<真ん中を狙ってもいつも真っすぐ飛ぶわけじゃあないし。万一、右の林でもOBよりはいいし。

よし、少し右に向いて>

ミッギー。

「あれっ、真っすぐ飛んで右の林だ。へ~、意外!」

 

日吉(K)

「このホールは右からの攻略ですね、間違いなく」

<右からドローでドラコン狙い、テクニシャンの俺としてはこれしかねえな!>

ドラコン、ドロ~テック。

「おお、いいところ!」

<読み通り、ばっちり。たまには当たっても罰はねえな!>

 

馬場(W)

「日吉さん、飛んでまっすね~!僕も負けずにガンバルっす」

<飛距離なら俺に任せとけって!あとは方向だけだな>

バシーン。

「やったあ、ドラコンっす!」

<400ヤードは飛んだな、って、それは冗談だけど、かなり出てるぞ!>

 

高田(W)

「馬場君、かなり飛んだぞ。飛び過ぎてフェアウェーを突っ切って、かなり行ってねえか?」

<飛びゃあいいってもんじゃあねえだろが!ゴルフはあがってなんぼのゲームだ。

ティーショットの300ヤードもパターの30cmも同じ1打だぜ。ったく!>

 

馬場(W)

「フェアウェーもはるかに越えてますって? やっぱり飛んでるんっすねえ、へへへッ」

 

高田(W)

<今のは褒めてるんじゃあねえ!>

「さ~て、次はできるだけ左か」

<右は下りの深いラフだ。あそこに打ち込むと出すのに大変だからな。

って、出すよりまず見つけるのが大変だぞ!>

ヒッダ~リ。

「うん、うん、まずまず。フェアウェーの左端だ」

<マイペース、マイペース。キャディーさんのことは今後一切考えない。けどかわいかったなあ。うちのか~ちゃんとは月とスッポンポンだ!>

 

三田(K)

「私は林から。前に木があるけど打っても大丈夫かな」

<このすき間なら僕の技術で楽勝!>

キーン、コーン、ドスッ。

「あっ、痛っ、何だあ? ボールが木に当たって跳ね返ってきて自分の脚に当たったのか?...しょうがないなあ。じゃあ、今度はこっちのもっと広い方に打つか」

<何でもばかにしたらだめだな。必ずしっぺ返しがくる!>

ジミ~ッ。

「よ~し、うまく転がって向こうのフェアウェーの真ん中だ!」

*:以下、CはCherrie、SはSweetie

C “Sweetie、三田さんの打ったボールが自分の脚に当たっただろう。痛えって言ってた

からさあ。自分が打ったボールだからそのままでいいのか?”

 

S “いや。簡単に言うと、1罰打でそのままプレーを続けることになるんだ。

まず、自分の打ったボールが、自分や自分のキャディーさん、あるいは自分の携帯品や自分のカート

(キャディーバッグを積んで移動する車)に当たった場合には、1罰打でそのボールが止まったところか

ら次のプレーをすることになるんだ。

けどね、同じく自分の打ったボールが局外者(同伴競技者や自分以外のキャディーさん、あるいは自分

以外の携帯品や自分以外のカート、作業車など)に当たった場合には罰打はないんだ。

つまり、自分に関係するケースであったら、故意にボールのコースを変えたりとかする可能性があるか

らじゃあないのかなあ“

 

C  “ふ~ん。じゃあさあ、今日みたいに1台に4人が乗るカート、つまり共用カートに積んである同伴競技者のキャディーバッグにボールが当たったら?”

 

S  “共用カート上の携帯品はすべて自分の持ち物と同じ扱いなんだ。だから、この場合にも自分のキャディーバッグに当てたときと同様に1罰打になるんだよ。”

 

C  “だったら当てて申し訳ないけどさあ、共用キャディーさんにボールが当たったら?”

 

S  “考え方は同じ、やはり1罰打が付くよ。だけど、たまたま同伴競技者が打ったボールが見つからないから、

その共用キャディーさんがそのプレーヤーのボールを探しているときに当たったら、罰打はないんだ。

この場合にはね、共用キャディーさんがほかのプレーヤーの特殊な指示で行動していたときには、そのプレーヤーのキャディーさんとみなされるため、罰打は付かないっていうことなんだよ。わかった?”

 

C  “まあね。あっ、じゃあ最後に、もし打ったボールが作業車に当たって、そのボールが運悪くOBになっちゃったら?“

 

S  “その場合には、1罰打で元の位置に戻って打ち直しになるんだよ。つまり、作業車は局外者だろう。

だから作業車に当たったボールが止まった位置から罰打なしにプレーを続けることができるんだ、

まずね。

そこで、そのボールが止まった位置がたまたまOB区域だったらOBの1罰打が適用されて、元の位置か

らの打ち直しになってしまうんだ。かわいそうだけどね”

 

C  “少し頭が動いてきたぞ。じゃあ、またまたキャディーさんには申し訳ないけど、共用キャディーさん

(一般的な共用)や自分担当のキャディーさんにボールが当たってさあ、運悪くOB区域に入っちゃった場合は?”

 

S  “その場合には、当てたことで1罰打、OBで1罰打の合計2罰打で元の位置からの打ち直しとなるよ”

 

日吉(K)

「とりあえず私がドラコンですね!馬場さんのは飛び過ぎで残念ですけど」

<2つ目のドラコンか!しかし第1組だから、後ろには当然ロングヒッターがいるだろうなあ。

よし、ドラコンの旗の一番下に自分の名前を書いちゃうか。後で俺より飛んでもその下には名前が書けねえように、なんちゃって!>

「さあ、2打目はグリーン近くまで飛ばして」

<左のOBは避けてちょっと右寄りかな、こんな感じで、...よし!>

チョビット、ミッギ~。

「お~、いい当たり。ああっ、フェード!」

<真っすぐ行ったと思ったら後半で右に曲がっちゃった。あそこは確か深いラフだ。出す以前にボールが見つかるのか不安だな。ん~っ、俺のファン? じゃあ、はい、サイン、って、近寄ってきた犬に言っても意味ねえか!>

 

馬場(W)

「僕は飛び過ぎのボールをあとは軽~くグリーンまで運べばいいんっすね。それでは」

<誰もこの飛距離を褒めてくれねえ。いいんだ、いいんだ、俺に嫉妬してるんだからな!>

ホメテチョ~、ダイ。

「あれっ、軽~く振り過ぎっす!」

<体の方がアジの食パンだよ。開き過ぎてスライスだ。深いラフの方か。日吉さんと同じような場

所に行っちゃったな!>

 

高田(W)

「次の3打目はグリーンの手前狙い、だな」

<計算通りだ!上げずにうまく転がせばリスクはねえぞ。もしリスクがあるとすれば、うまく転がし過ぎた嫉妬のリスクか>

ニャンコロ~ッ。

 

三田(K)

「うまい、グリーンの手前ですね!さあ、私もグリーンまで」

<右の深いラフは避けて、左から回ってグリーンオンか。でもちょっと遠いな。

無理するなよ、三田! 力を入れ過ぎるなよ、三田! はやる心を抑えろよ、三田!

高田さんと同じグリーン手前で十分だからな、三田!

“ くどいぞ、三田! ”

おいっ、今言ったのは誰だ?>

イッキスッギ~。

「あれっ、左に行き過ぎ。左のバンカーだ!しかしその先がOBだから、バンカーで止まっただけまあいいかな」

<考え過ぎだ!もっと頭をフラットに。売店でビールを買ってふら~っと、でもいいか>

 

日吉(K)

「さすがに右下がりの深いラフでボールもよく見えないですね。これは上からたたきつけて打つしかないかな」

<浅いラフなら、グリップをしっかり握って、ボールの手前をラフごと運んで横から払い打てばいいんだけど、ここは深いラフだから、鋭角的に、つまりかなり打ち込んでいかねえとクラブヘッドがボールに届かねえぞ、って、教科書どおり!?

よし、ボールを打ち込む場所を間違わねえようによ~く見てっと、...。

あれ~っ? このボール俺のじゃあねえぞ!>

「もしかして、このボール馬場さんのですか?」

 

馬場(W)

「えっ...、あっ、そうっす!じゃあ僕が打とうとしていたボールが日吉さんのっすか? その真横にあるボール」

 

日吉(K)

「そう、そう、それ私の。間違って打ちそうになってすいません」

<紛らわしい。同じような白くて丸いゴムボールなんか持ってくるなよ!

馬場さんならボールが四角だってぶっ飛ぶんじゃあねえの!>

「ほとんど同じ場所にボールがあるから、じゃあまた私から」

ザザッ。

 

馬場(W)

「おっ、このラフからよく出たっすね!しかもグリーンに乗ってるっす。じゃあ次はこっちが...」

<あっちが出るなら、こっちは当然!>

トーッ、ゼン。

 

日吉(K)

「さすが馬場さん、パンチがきいてグリーン奥にオンですよ」

<深いラフからだったから、奥のOBまで行かなかっただけだ。ラフに感謝しろよ!>

 

C “Sweetie、たまたま、じゃあねえ、またまた質問。日吉さんは自分のボールじゃあねえことが分かったか

ら打たなかったんだろう。でも、もし違う人のボールを打っちゃうとどうなるんだ?”

 

S  “もし間違ったボールを打ってしまうと、それは誤球のプレーっていって2罰打が付くんだ。そのときは再

度自分のボールを打ち直すんだけど、間違って打ったボールの打数は計算しないんだよ。だって、自分のじゃあないボールを打ったんだからね。

だから簡単に言うと、次に打つときは、誤球のプレーによる2罰打と自分のボールを打つ1打のプラス3

打目になるんだよ”

 

C  “じゃあさあ、今回、もし日吉さんが間違って人のボールを打って、自分のボールは深いラフで5分探しても見つからなかったときは?”

 

S  “そのときは、誤球のプレーによる2罰打に紛失球の1罰打を加えて元の位置に戻って打ち直すことになるんだけど、この対抗戦のルールではね、紛失球は紛失したと思われる地点で相手校の了解を得て2罰打でプレーを再開する規定だったよね。

だから、次に打つときは、誤球のプレーによる2罰打に紛失球の2罰打に自分のボールを打つ1打を加え

てプラス5打目になるんだ”

 

C  “そんなになるのか、大変なんだなあ!”

     

三田(K)

「このバンカーショットはちょっと難しいですね。打ち過ぎると反対のバンカーに入ってしまうし」

<欲張らずに出すだけ。入れたら出すだけ、単純に!

もしまた反対の方に入れたら “ ラッキー、もっとバンカー練習ができる ” って思えばいい

んだ。...でも、やっぱりむなしい!>

ハヤクデテッ。

 

高田(W)

「ナイスアウト、って、もうピンそばだ。それOK!」

<おいおい、人のことなんか言ってられねえぜ!こっちはまだグリーンの外だからな。でも予定通り4オンになりそうだ。グリーンは平らだけど芝目は奥に向かってるから、こっちからは速えな。ちょっと手加減して弱く打つのが正解だな>

ヨワイゼヨ~ッ。

「オ~マィブッダーッ、弱過ぎる!グリーンに乗っただけだ。俺、まだまだ海女ちゃん、いや、甘ちゃん!」

<グリーンに乗っただけで気持ちいいのは新幹線だけだぜ。こうなったら次は “ロングパットの

高田“ でいくか!>

「さ、もう一度。強気でいくぞ!」

ツヨーッキ。

 

三田(K)

「惜し~い。カップの縁を右から動いて左止まり。それ、もちろんOKですよ!」

<入りそうで入らないところが実に高田さんらしい!さすが人生経験たっぷり!>

 

日吉(K)

「皆さん、どんどんホールアウトしていきますね。私もぜひあやかって」

<よく考えると、1回で入れようとするから力が入るんだな、たぶん。1回目はカップのあのあたりでいいと思えばいい結果になるんだ、プロじゃあねえんだから!

この開き直り、これが大切。何で今まで気がつかなかったんだ?

(天の声:それはお前が冷静ではないからだ~!)

あっそう、どうもすみません、って、これ何?>

アバウト~ッ。

 

馬場(W)

「おお~、近いっすねえ、カップ1個分。もうOKっす!では最後の締めは僕が」

<最後のオオトリか。フフッ、俺にふさわしいな!>

トリャ~。

「でかい!でかいっす。かなりオーバーっすね。じゃあもう一回打ちま~っす」

<チェッ。しかし短かったら絶対入らねえんだ。心もでかく、態度もでかく、パッティングもでか

く。これでいいんだ!>

イケ~ッ、...コットン。

「入ったっす、やっと、...やれやれ」

 

高田(W)

<懲りねえなあ、って、あそこまで開き直るとかえって尊敬しちゃうぜ!>

 

はるか向こうのティーグラウンドを背に、ここのホールのグリーンに佇むと、眼下には川より海へとつながる大自然の光景が広がっている。

 

「「 海と川の交りあふ場所見下ろして立てば褐色の水音聴こゆ 」」

 

第6ホールの4氏のスコアは以下のとおり。

 

氏 名 前ホールまで 当ホール 累計      コ      メ      ン      ト

W側:

・高田氏   26       6     32                -

・馬場氏   30       5     35                -

K側:

・三田氏   24       7     31  自分の打ったボールが自己に当たったことによる1罰打

・日吉氏   27       5     32                -

 

売店で一休み

次の第7ホールは少混んでいた。カートが3台、立ち往生。

一方、第6ホールと第7ホールの間では売店がプレーヤーを、いや、ビールがプレーヤーを呼んでいる。

ちょうど水分補給のいい口実だ。別の組も補給中。

さあ、つかの間の天国。ゆっくり体を癒やそうか。

 

高田(W)

「ここはいいなあ、クーラーもウンウンうなってるし。つかの間の安らぎだ。俺は泡のある水でもいただこうか。それお願い、...いや、その炭酸じゃなくって、その横の運転するとき飲んではいけないそれ! 何? はっきり言ってくれ? はっきり言うとルービ、...だって缶が逆さまに置いてあるだろ!

しかし、ゴルフってさあ、言い尽くされてるけどまさに人生だよな。

ともに順調にいかねえし、その失敗から学ぶことも多いし、しかも一足飛びじゃあなくって一歩一歩着実に進まなきゃあならねえしさあ」

<実感!もし一足飛びができたら先輩たちを飛び越して、俺、今頃は社長だぜ!

現実は一歩一歩だから、逆に後輩たちに抜かれて次長止まり、...とほほ>

 

三田(K)

「まさにそうですね。運動の観点から見れば、ゴルフはそんなにきついスポーツではないけれど、その本質は過酷

ですよね。審判はいないから自分で判断しなければならないし、ピンチのときは “この一打で挽回するぞ”、なんて思うと、逆に事態はますます深刻になったりして。

チャンスのときも “このチャンスを必ずモノにするぞ” なんて思うと、かえってそれがプレッシャーになったりして。

“無心の境地になれ”ってよく言うけど、あれは簡単じゃあないんですよね」

< “ ピンチはチャンス ”、か。じゃあ、“ チャンスは...チョンボ ” 、...それ自分!?>

 

馬場(W)

「横から口を挟んで申し訳ないっすが、僕はクラブを振るときは、ばかのひとつ覚えでいかに遠くに飛ばすかってことしか考えないんす。ある意味で“無心の境地” なんじゃあないかなって思うんすよ」

<“無銭の窮地” はいつものことだけど!>

 

日吉(K)

「それはそれでいいんじゃあないですか。1打1打飛ばすために最善を尽くして打つ。そしてその結果が良ければよし、悪ければ忘れる。いつまでもミスにくよくよしていてもかえって深みにはまってしまいますから」

<おお、...なるほど!俺、こういうことを今まで自分でゆっくり考えたことはなかったなあ。

まさにそうなんだ。ミスしたら1打逆転だなんて考えねえで、この程度のミスでよかったって思えばいいんだ!

20年くらい前は妻も小さな町の“ミス××”だったんだけど、この程度のミスでよかったって思えばいいんだ!...えっ、それとは関係ない!?>

 

高田(W)

「みんな、いいこと言うねえ。こういうとこで涼むと自然にいい発想が出てくるんだな。なんせ大自然と戯れてるんだもんな。会社の机の上じゃあこうはいかないぜ。気持ちの問題かな。こんな時間を過ごせて幸せだ。

それとさ、ゴルフは逃げちゃあいけないんだよな。ほら、目の前に池があったり、近くにOBがあったりするとさあ、それを意識して避けようとするだろ。そうするとかえって気になって結果としてそっちに引き込まれちゃうんだな、これが」

<家に帰って妻が視界に入ると意識的に目をそらしちゃうんだけど、そうするとあっという間に引き込まれちゃうんだよな。

“あなたっ、今までどこで何してたのよ? えっ、何もしてない? じゃあ、その襟の赤い汚れは? お祭りの露店で綿あめを買ってなめてたら溶けて赤くなったあ? 子供じゃあないんだから、もうちょっと上手なうそをつきなさいよ!“、って、これは俺の問題か?>

 

三田(K)

「そうですね。仕事もそうですよ。嫌な仕事があると後回しにしたがるけど、そうすればするほどかえって問題が大きくなってしまうんです。嫌なことほど迅速に対応した方がいいんですよね。

ゴルフも池が目の前にあったら、池に向かって今日は暑いからボールを泳がせてやろうか、何て思って打った方

がかえって結果が良かったりするんでしょうね。まさに気持ちの問題ですね」

<嫌なことほど迅速に対応か。...そうだよ、まず迅速に対応してみて、そこでどうしてもうまくいかなかったら仕方がないからあきらめて、嫌なことは早く忘れる。って、...これでいいのかなあ!?>

 

馬場(W)

「僕は仕事の経験はまだまだ皆さんより浅いっす。だからよくはわからないんすけど、なんていうのか、ゴルフはあるがままに受け入れてるんすよ。難しいことは考えないで、自分で自信が持てることを単純に!

単純に考えてると飛ばすことだけに集中できて、迷いもなくなるし、不安もすっ飛んじゃうんすね」

<こういうときって単純な頭はありがたい。親に感謝しなくちゃあ...!?>

 

日吉(K)

「馬場さんは心臓が、つまり心が強いんです! 心の強い人は自分のできることをやり続けることができるんです。

良いか悪いかは別にして、方向性は常に不変でしっかり1打1打プレーしてますよね。ひとつひとつのことに一喜一

憂してその都度考え方を変えるなんてことはしないんですね。素晴らしい性格だと思います!

心の弱い人は、ゴルフでいえば同伴競技者、つまり相手を意識し過ぎて自分を見失ってしまうんです。そうすると相手のスコアが気になりだしたり、相手のミスショットを期待したりして、かえって自分自身を追い込んでしまうんです。自分が崩れる原因を自分自身で作り出しているんですよね」

<まさに俺自身のことを言ってたりして!>

 

高田(W)

「うん、ミスを楽しむくらいの余裕があったほうがいいのかな。余裕を持つといい発想が生まれるし。こういう場所にいるとさ、ほんと建設的意見が出るね。たまにはいい空気を吸わないと駄目だな。さあ、そろそろ俺たちの番かな」

<俺、いい空気を毎週吸ってるけど>

 

一歩外に出ると暑さがぶり返し、頭の中もぶり返し。

先ほどの建設的意見とは裏腹に、コースに戻ればうわの空。元の黙阿弥。

各自、またまたマイペースに...。

 (校歌・応援歌斉唱、エール交換)

このたびはK側に栄冠が輝いた。

しかし、どちらに転んでも決しておかしくない戦いであった。

「それでは恒例の両校による校歌・応援歌斉唱とエールの交換です。

まずはW側の方々による校歌 “ 都の征服 ” をお願いします」

「...はい、ありがとうございました。

それでは次にK側の方々による応援歌 “ 若機智 ” をお願いします」

「...はいっ、両校ともありがとうございました。これにて、本日の対抗戦を終わらせていただきます。

また、来年の6月第1土曜日にお会いしましょう! それではまた」

何であろうか、このすがすがしさは。

ひと仕事終えたあとのものとも違う。

単純に競い合って満足したあとのものとも違う。

ときには成功し、ときには失敗する。

ときには喜び、ときには悲しむ。

ときには大声で叫びたくなり、ときには心の奥深くしまい込みたくなる。

それらをみな優しく包み込んでくれる。

あまりに身近すぎて、その存在さえいつの間にか忘れてしまう。

それほど当たり前の存在。

しかしその存在を知らぬうちに失ってしまったら、...そんなことは考えられない。

友とはそういうものなのか。

「「 好きだとか嫌ひだとかを超えたときそれをすなはち友といふなり 」」

先人たちが築き上げてきた長き時を刻む “伝統”。

お互いが認め合い、切磋琢磨することのできる好敵手、それ自体計り知れないほど貴重な存在である。

 

本日のゴルフコースに、対抗戦に、友に感謝しつつ、三三五五、家路に。

もちろん、そうでない人も、...散散後娯。

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