塩野12)ラグビーW杯日本開催を終えて・・・33号

ラグビーワールドカップ日本開催を終えて

                    塩野 秀作(‘76年商学部卒、大阪慶應倶楽部副会長)

9月20日~11月2日にン本で開催された第9回ラグビーワールドカップ(ラグビーW杯)が終了した。10年前の日本開催決定の立役者は、故奥克彦氏である。早大ラグビー部に入部するも外交官を目指し2年生で退部。1981年外務省入省。研修で留学したオックスフォード大学ラグビー部に入部し日本人初の公式戦出場。帰国後、森喜朗首相にラグビーW杯の日本開催を働きかけ、日本招致に奔走。2003年11月に人道支援のためイラクにて車で移動中にテロ集団の銃撃で殺害された。その遺志を森元首相らが実現させ、アジア初の日本開催決定。日本招致には奥克彦氏の功績が大きい。2015年、ロンドン大会で日本は、南アフリカに34対32で勝利したが、3勝1敗となりポイント差で決勝トーナメントに進めず。日本国民は熱狂したものの、その後の対応が悪く、ラグビー人気は一時的なもので終わった。その反省から7月末に日本ラグビー協会の清宮克幸副会長は、日本トップラグビーのプロ化宣言を行った。

ラグビー登山家 長澤奏喜君(慶大BYBラグビークラブ後輩)について触れる。2年半前に彼は、2019年9月にラグビー杯が日本で開催されるにも拘らず、そのニュースに心躍らせているのはラグビー関係者のみという状況から一般の人が関心を抱くようにプロジェクト(PJ)を立ち上げた。2017年3月9日ポルトガルの最高峰を最初に過去杯出場国25か国の最高峰に、日本代表の桜ジャージを着てラグビーボールを持って登頂し、山頂にトライするというPJである。富士山頂にボールをトライした8月27日で無事終了。自分の熱い夢を語り、家族の大反対にあうも2016年12月に大手企業を退職し、PJを成功させた情熱の男である。メディアへの登場・露出も多く、ラグビー杯への関心を高めた。

ラグビー杯への関心が高まり、多くの人達が会場やテレビ等で観戦し、試合に熱狂した。このように熱狂するラグビーの魅力は何でしょう。ラグビーの生い立ちは、大英帝国の優秀なリーダーを育てるため精神的・肉体的にも強い人間を育てるためにラグビーを奨励。ラグビーの魅力である特徴は、①レフェリーに絶対的に従う。②One for all, All for one.  ③ノーサイド 試合が終われば選手も観客も敵味方なしで仲良くする。④キャプテンシー 試合中はキャプテンが状況判断し、チーム(選手)を引っ張る。そして、真剣勝負で戦わないと大怪我をする生身のままの肉弾戦であることが魅力だろう。

今回のラグビー杯で、日本はAグループ4戦全勝ポイント19で1位となり、初めてのベスト8で決勝トーナメント進出。10月20日に南アフリカと対戦し、3対26で惜敗。決勝トーナメントに進めたことはすばらしい成果であった。ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが、各選手の自主性を尊重しつつ筋力強化、オフロードパスなど多彩な攻撃ができるチームに育成した。外国人選手が多くいるチームを主将マイケル・リーチはよくまとめ、”ONE TEAM”にした。彼のひたむきで謙虚な姿勢は多くの人に感銘と感動を与え勇気づけられたことであろう。

日本代表チーム関係者とボランティアの皆様に感謝の意を表したい。  以上

当記事は日本香料協会の会誌「香料」284号巻頭雑感(2019年12月20日発行)に掲載されたものです。                                                  (塩野香料㈱ 代表取締役社長)

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