チルちゃんと僕(28)~やさしいことはむずかしい③~

「わっ!オオムラサキちゃんまた来てくれたよ。きれいだなあ。立派だなあ。さすが、日本の国蝶!お話が終るまで待っててね~。」

《3、“「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」といへり。されども今広くこの人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、富めるもあり、~”

“~天より定めたる約束にあらず、諺にいはく、「天は富貴を人に与えずして、これをその人の働きに与ふるものなり」と。”

この良く知られた言葉(「天は~造らず」)は、諭吉がアメリカの独立宣言の一部を意訳したものといわれているが、ここで諭吉は「人は生まれながらにして平等である」という単純な平等思想を説いたのではなく、人の富貴は、その人の働き次第で決まるという、むしろ厳しい競争原理の方を説いたと考えるべきなのである。

又、人間個人の独立といった遠大な独立思想「一身独立して一国独立する」についても、

明治の日本が世界の中で近代国家として独立していけるかどうか、明治維新という大転換期を乗り切るための危機意識から書かれたものと考えるべきである。》

「さあ、この子供でも読めるやさしい『学問のすすめ』に書かれている内容も、ボーッと読んでいたら勘違いのまま読み終えることになるのよ。クーちゃんにはこの難しさが分かるかな?」

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写真は「オオムラサキ」:宮川直遠氏撮影(「ハイムの蝶百科図鑑」より)

 

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