ソフィアさんちのチルちゃんと僕(75)~世阿弥と福澤諭吉(1-3)~
「これが能舞台よ。」
「初めて見たよ。日本の伝統芸能だって・・・なんとなく分かるね。」
「普通の舞台でこんなお寺か神社みたいな屋根が付いているのは・・・ないよ。」
「ふふふ、クーちゃんだからもしかしてここにお相撲さんが出てくるかも、って思ったんじゃないの?」
「思わないよ!ちょっと思ったけど・・・土俵がないから・・・違うって・・・」
《3、足利幕府という政治的な事件と、能の結城座(現在の観世流)という芸術上の事件は、このような乱世の中から現れてきたのである。これらはその後具体的に結びつき、さらに実質上の最盛期を同じような時期に終わっている。能の大成は観世父子の2代によって成し遂げられたようなものだが、その半世紀は一つの政治的時代の熾烈な燃焼と重なり合っていたと言っても過言でない。
(注)
能楽:日本の伝統芸能。重要無形文化財に指定され、ユネスコ無形文化遺産に登録されている。
江戸時代までは猿楽(申楽)と呼ばれていた。
1881(明治14)「能楽社」の設立を機に「能楽」と称されるようになった。
明治に入り、江戸幕府の式楽の担い手として保護されていた猿楽の役者達は失職し、猿楽という芸能は存続の危機を迎えた。
岩倉具視をはじめとする政府要人や華族達は、資金を出し合い「能楽社」を設立し、芝公園に「芝能楽堂」を建設した。
以後「猿楽」という言葉は「能楽」という言葉に置き換えられた。》