ソフィアさんちのチルちゃんと僕(42)~天才と凡人~(1)-4

     《~天才と凡人~(1)-4》

《4、 奥平壱岐の屋敷で見せられたオランダの築城書の新刊(貧乏学生の諭吉には買うことも出来ず、だからといって借りられる見込みも無い高価な原書)を、「なるほどこれは結構な原書でございます。とてもいっぺんには読めません。せめて図と目次だけでも一通り拝見したいものですが、4、5日拝借させて頂けないでしょうか」と言って借り、家に持ち帰るやいなや即刻その原書を初めから写しはじめたのである。

200ページあまりのものであったらしい。「家の奥のほうに引っ込んだきり客にも会わずに、昼夜精一杯、気力のあるかぎり写した~」、ばれては大事になる。泥棒の心配もこんなものであろうかと思いながら写し終わるのである。この書を写すのには20日~30日くらいかかったらしい。「まんまとその宝物を盗み取って私のものにしたのは、悪漢が宝蔵に忍び入ったようだ」と『福翁自伝』で述懐している。》

「凄いね、一万円札の人、泥棒をしたんだ!」

「コラッ!クーちゃん。その頃は゛著作権”なんて言葉はなかったから、泥棒ではないのよ。」

「ソフィアさんだって、国会図書館から借りた、図書館からの持ち出しもコピーも禁止されていた書物を・・・・」

「えっ?どうしたの?」

「ソフィアさんの場合は、図書館の中で手書きで写していたのを、司書の人に゛家の近所の図書館でも取り寄せてくれるので、そこならここのように厳重な持ち出し検査をしないから・・・”と教えて貰い・・・」

「それで?それで?」

「家の近くの小さな図書館の司書さんが、゛書き写すのは大変、毎日通っても何ヶ月もかかりますよ。ここでは出入りに荷物検査をしないから、持ち出して外の文具店でコピーをしても・・・”となり」

「うん、うん、よかったね」

(写真:宮川直遠氏撮影:「ジャカランダの小道」゛緑の環境委員会”より)

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