ソフィアさんちのチルちゃんと僕(35)~学問をするということ③~

「超エリートの学校だからこそ、無試験で入れる通信課程を作ったのだと思うわ。」

「目的は全ての青年が貧しくとも学を志し、国の独立を守れるように、という福澤精神を受け継いだ、慶應の運営者がいたからに違いないわ。」

「だったら誰だってエリート大学を卒業できるの?」

「それはだめよ。慶應の通信課程は入るのは簡単だけど、卒業は超大変らしいわ。だって卒業できるのは入学者の3%しかいなかったのよ。」

「ふう~ん。あっ!アゲハちゃんがいるよ。」

「クーちゃんについてきたみたいね。久し振りの彼岸花で大喜びしているわ。」

「チルちゃんでもお話するのを忘れてしまうことがあるんだ。」

「う、う、・・・さあ、お話再開よ。」

《「学問をするということ③ 」

           ~活用亡き学問は無学に等し『学問のすすめ』12編より

慶応義塾大学通信教育課程の凄いところは、

①学費が極端に安いこと。

何万人という在籍生全てが、大学から高額な奨学金を与えられているのと同じである。

②在籍期間が無期限であったということ。(現在は12年)

卒業できなくとも働きながらの勉強続行が可能である。(44年在籍後卒業の方もおられた)

③通信教育課程の専任教員という方が存在しないということ。(現在も)

リポートの講評採点やスクーリング授業はもとより、各地の学生会に対する講師派遣や講演会まで、全て学部または大学院の先生方であるということ。(教授クラスの先生方が多い)

④卒業証書は通学課程と同じ表記。(塾員としての扱いも一般卒業生と差別はない)

日本では極めて奇妙な、お金儲け(大学経営)を無視したような慶応の通信課程創立の意義は、まさしく日本国敗戦による未曾有の混乱と貧困の中で「一身独立して一国独立す」⇒「学問の奨励」という福澤精神の継承の具現化にあったとしか考えられない。

写真:宮川直遠氏撮影:「ハイムの蝶百科図鑑」より「彼岸花とアゲハ」

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