ソフィアさんちのチルちゃんと僕(26)~やさしいことはむずかしい①~
「やさしいことはむずかしい」
杉本 知瑛子(1997 文・美卒)
「チルちゃん!どこへ行っていたんだよ!天国でも僕一人で・・・探していたんだよ!(涙)」
「ごめん、ごめん、蝶おじさんのお友達が石垣島に行ったのでどんな蝶がいるのか、知りたくて。そ~っと後を・・・」
「うえ~ん、僕にないしょで・ヒック・ヒック・うわ~ん・(大泣き)」
「ご機嫌なおしてね。ほらおみやげよ。こんなにきれいなヤエヤマカラスアゲハ。感度抜群のカメラでの狙い撮りだから・・・今度は蝶おじさんも一緒の時についていってみましょうね。」
「うん、ぜったいだよ!」
「じゃあ、今回はお詫びにソフィアさんのメモでもやさしそうな、クーちゃんが質問無しで聞けるお話しを選んでみたわ。」
「わあ~い、わあ~い、うれしいな、早く読んでよ~!」
《「やさしいことはむずかしい」
1、 「難しいことを難しい文章で伝えることは容易く
難しいことをわかり易く伝えることは、極めて難しい。
近頃の学者さんは、物事をわざと難しく書くので困ったものだ。
そうやって格好を付けているのだろう」
福澤諭吉の令孫にあたる(故)清岡映一(慶應義塾大学名誉教授)先生は、よくそのように話しておられたそうである。
『学問のすすめ』などは、福沢自身が「子どもにも理解できるように書いた」と言っているくらい、
理路整然、趣旨明確、とにかく簡単で分かりやすい文章である。
諭吉の文章は、蓮如(室町時代・浄土真宗中興の祖)のおふみ文(布教のための著=『御文』)を参考にしていて、人に伝えることを最も大切にしていたとのことである。》
「うふふ、クーちゃん、何をきょとんとしているの?」
「だって、だって、やさしいことはやさしいんだ、なのにそれをむずかしいなんて、どこのおばかさんが言っているんだよ。」
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◎写真は「ヤエヤマカラスアゲハ」:松村隆太郎氏撮影(「ハイムの蝶百科図鑑」より)