ソフィアさんちのチルちゃんと僕(22)~オペラ蝶々夫人の魅力⑤~

「蝶だって生まれたての時は、怖いということを何も知らないのよ。」

「だから、卵から大切に育ててもらった人間の手に乗って、お礼を言ってから大空に飛び立つんだね。」

《マダム・バタフライが舞台で舞っている、あどけなくかわいらしい舞妓さんのような女性かもしれないと思ったら、プッチーニのオペラ『Madama Butterfly』全てのストーリーとそれに付された旋律に対する解釈が変わってしまったのである。

ピンカートン                    蝶々さん

「Quannt’anni avete?」(年はいくつ?)       「Indovinate」(あててみて」

「Dieci」(10才)                 「Crescete」(もっと上よ)

「Venti」(20才)                 「Calate. Quindici netti,netti;son vecchia diggia」

(もっと下、正確には15才;大人なのよ)

「Quindici anni! L’eta dei giuochi」               「e dei confetti」

(15才か! おもちゃ遊びの年だ)              (お菓子の年よ)

オペラの第一幕、蝶々さんとアメリカ海軍士官ピンカートンの初対面での会話である。

私のイメージの中では、オペラの舞台でプリマドンナが演じる“蝶々さん”はいつもあどけない少女ではなかった。幼くかわいらしいはずの蝶々さんは、プッチーニのトスカやヴェルディのヴィオレッタ(『椿姫』)と同じように立派な大人の女性としてしか認識していなかったのである。》

「舞妓さんがあまりにもかわいらしかったので、ソフィアさんはオペラの蝶々夫人もかわいらしい少女だったのではないかと思いだしたのね。」

「だけど、蝶々さんは最後には短刀で自殺するんだよね。」

「・・・どうして生きることができなかったんだろう?・・・

・・・自殺なんてするのは人間だけだよ・・・」

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