ソフィアさんちのチルちゃんと僕(102)~交詢社とシューベルティアーデ(2-4)

「チルちゃん、楽園幻想ってことば知ってる?」

「う~ん、楽園は幻想だってことでしょう?」

「それだったら文字のままじゃないか!本当はもっと意味がありそうなんだけど・・・」

「ソフィアさんのメモを読んだら、少しでも分かるかもしれないわ。」

「じゃあ、はやく読んでよ、気になってしかたないよ。」

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《交詢社とシューベルティアーデ2-4》

《4、こういった思想を内在させる田園詩は、『冬の旅』の場合、まさに、楽園(恋人)への夢と絶望の詩となっていったのである。『冬の旅』は、その田園詩における「楽園幻想の諦念」と現実のシューベルトの絶望がみごとに一致したところで作曲がなされたと考えられるのである。

(有名な「菩提樹」は、その一曲だけで典型的な楽園幻想を音楽とした曲である)

また伴奏楽器であるピアノは、しばしば魂を持つものとして考えられた自然を描写する。これは人間の内面世界の象徴として、またはその根源と本質において、人間の内面世界と親しく近いものとして理解することが出来る。こういった自然に対する考え方は、ロマン主義思想の特徴であり、自然の根底に精神と同一なる物の存在を認める、シェリングの一元論やスピノザの影響を受けた、ゲーテなどと同じ立場であると考えることができる。》

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