万葉の花々(23)~ねつこぐさ(オキナグサ・ネジバナ)~

オキナグサ

万葉集 巻十四~三五〇八

芝付(しばつき)の 御宇良崎(みうらさき)なる ねつこ草(ぐさ)

相見ずあらば 我(あれ)恋ひめやも

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現代訳:ねつこ草のような可憐なあの娘にもし逢っていなかったら、わたしはこんな恋慕ったりはしなかっただろうにな。あの娘に逢って以来、こんなにも恋するようになってしまった。

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『万葉集』に「ねつこ草」と詠まれているのはこの一首のみ。ねつこ草というのは「翁草」のことだといわれているが、少数意見として「ネジバナ」とする説もある。

翁草は日当たりのよい山野に生える。3月頃新芽を出すが、一面、白い毛に覆われている。4月には茎が伸びてその先に釣り鐘形の花を一輪付ける。下向き加減に咲くので、可憐でおくゆかしい乙女のようである。

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参考(Wikipedia)

*オキナグサ(翁草、学名: Pulsatilla cernua )は、キンポウゲ科オキナグサ属の多年草。

*特徴

葉や花茎など全体的に白い長い毛におおわれる。花茎の高さは、花期の頃10cmくらい、花後の種子が付いた白い綿毛がつく頃は30-40cmになる。花期は4-5月で、暗赤紫色の花を花茎の先端に1個つける。開花の頃はうつむいて咲くが、後に上向きに変化する。花弁にみえるのは萼片で6枚あり、外側は白い毛でおおわれる。

白く長い綿毛がある果実の集まった姿を老人の頭にたとえ、翁草(オキナグサ)という。 ネコグサという異称もある。

*薬効と毒性

全草にプロトアネモニン・ラナンクリンなどを含む有毒植物。植物体から分泌される汁液に触れれば皮膚炎を引き起こすこともあり、誤食して中毒すれば腹痛・嘔吐・血便のほか痙攣・心停止(プロトアネモニンは心臓毒)に至る可能性もある。漢方においては根を乾燥させたものが白頭翁と呼ばれ、下痢・閉経などに用いられる。

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