万葉の花々(17)~かたかご(堅香子:カタクリ)~

万葉の花々(17)

もののふの 八十娘子(やそをとめ)らが 汲(く)みまがふ

寺井(てらゐ)の上(うへ)の堅香子(かたかご)の花

  大伴家持(おほとものやかもち) 巻十九 四一四三

現代語訳:「泉のほとりは大勢集まった水汲みの乙女たちで賑わっています。
そんな境内に咲く堅香子(かたかご)の花は、なんとかわいい花なのだろう」
*片栗の花は雪国に多く咲くようだが、奈良県と大阪府の境にある葛城(かつらぎ)山頂にも咲くところがある。山頂は平地より気温が十度ほど低く、四月中旬になってやっと咲き始める。枯れ葉をもたげて芽吹き、あでやかに咲く花は゛春の妖精たち”が陽気におしゃべりでもしているような風情でもある。
『やまと花万葉』(東方出版:2010,4,28)より抜粋
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カタクリの花は、キクザキイチゲ、ニリンソウと合わせて、「スプリング・エフェメラル」や「春の妖精」とも呼ばれることがあります。その可憐な姿も、「春の妖精」と呼ばれる所以ですが、春の数日間だけそっと現れ、初夏には緑の中に紛れてそっと消えてしまう姿は、まさに「妖精」です。

*カタクリの花の名前の由来

カタクリとは、ユリ科カタクリ属の植物です。昔は、カタクリではなく、「堅香子(かたかご)」と呼ばれていました。堅香子という名前の由来は、カタクリの花が傾いたかごのように見えるからだという説があります。堅香子は時代とともに名前を変え、「カタコ」と呼ばれることが増え、ユリ科の植物であることから「カタコユリ」に変わり、最終的に「カタクリ」に落ちついたとも言われています。

*カタクリの花言葉の由来

カタクリの「初恋」という花言葉は、下向きにつく、つぼみの様子から、初恋のようなせつなさをイメージしてつけられたという説があります。また、「寂しさに耐える」という花言葉は、1株に1輪ずつしか花をつけず、まだ肌寒さも残る季節に、すっと佇んでいるイメージからつけられたという説があります。

それでカタクリには「初恋」「寂しさに耐える」という2つの花言葉があります。1輪ずつ花をつける、カタクリの花にぴったりの花言葉です。

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            ◎参考(Wikipediaより)

カタクリ(片栗、学名:Erythronium japonicum Decne.)は、ユリ科カタクリ属に属する多年草。別名で、カタコともよばれる。古語では「堅香子(かたかご)」と呼ばれていた

山地の林内に群生し、1 – 2枚つく葉にはまだら模様がある。春先に独特で見栄えする紅紫の花を咲かせたあと、地上部は枯れる。種子で繁殖するが、発芽から開花まで8 – 9年ほどかかる。かつて、球根から片栗粉が作られていた。

雪解け後に落葉樹林の林床で真っ先にカタクリやニリンソウなどが葉と茎を伸ばし花を咲かせる。その後枯れて地上部の姿が消える。

地下茎は意外と深く、鱗茎の姿がクリの片割れに似ることから、「片栗」の意味で名づけられたといわれている

早春に10 – 15 cm程の花茎を伸ばし、直径4 – 5 cmほどの薄紫から桃色の花を先端に一つ下向きに咲かせる。まれに白花を咲かすものがあり、シロバナカタクリとよばれる。蕾をもった個体は芽が地上に出てから10日程で開花する。花茎の下部に葉が通常2枚、若い株では1枚の葉がつき、幅2.5 – 6.5 cm程の長楕円形の葉には暗紫色の模様がある。地域によっては模様がないものもある。

開花時期は4 – 6月で、花被片と雄しべは6個。雄蕊は長短3本ずつあり、葯は暗紫色。長い雄蕊の葯は短いものより外側にあり、先に成熟して裂開する。雌蕊の花柱はわずかに3裂している。地上に葉を展開すると同時に開花する。晴天時は花に朝日を浴びると、花被片が開き背面で交差するほど極端に反り返り、夕暮れに閉じる運動を繰り返す。日差しがない曇りや雨の日には、花は開かないまま閉じている。開花後は3室からなる果実が出来、各室には数個 – 20程の胚珠が出来る。平均で60%程の胚珠が種子となる。胚珠は長さ2 mmほどの長楕円形である。染色体は大型で2n=24である

早春に地上部に展開し、5 – 6月ごろに結実して、その後葉や茎は枯れて宿根する地上に姿を現す期間は4 – 5週間程度で、群落での開花期間は2週間程と短い。このため、ニリンソウなど同様の植物とともに「スプリング・エフェメラル」(春の妖精)と呼ばれている。種子にはアリが好む薄黄色のエライオソームという物質が付いており、アリに拾われることによって生育地を広げている(同様の例はスミレなどにも見られる)。

*カタクリは5月中旬から9月末までは、地下で休眠状態となる。最大30 cm程の深さにある長さ5 – 6 cmの筒状楕円形の鱗茎は、10月下旬ごろに発根し始める。雪解けを待って、地上に糸のような細い葉を伸ばす。

カタクリは、「春の妖精」(スプリング・エフェメラル)と呼ばれる植物の一つである。エフェメラルとは、もともと「はかない命」という意味で、カタクリが1年のうちで地上に出ている期間は、春先の2か月足らずに過ぎず、葉で光合成をして栄養分を鱗茎に蓄えて、夏には葉を枯らし、翌年の春まで土中の鱗茎のまま休眠状態で大半を過ごしている。光合成ができる期間が、1年のうちでわずか2か月ほどしかないため、栄養を蓄積するまでに長い時間を要してしまうことから、種子から発芽して花を咲かせるまでに8、9年ほどの歳月を必要とする

発芽1年目の個体は細い糸状の葉を、2年目から7 – 8年程度までは卵状楕円形の1枚の葉だけで過ごし、鱗茎が大きくなり、2枚目の葉が出てから花をつける。カタクリは、毎年少しずつ鱗茎に養分を蓄積しながら、しだいに葉を大きくしてゆき、その結果、発芽から8 – 9年をかけてコツコツと貯めた栄養分で、ようやく花を咲かすことができる。開花初期は開花と結実がある有性生殖と結実がない無性生殖を繰り返し、個体が大きく成長した後は複数年に渡り開花が継続する。カタクリの平均寿命は40 – 50年ほどと推定されている。なお、鱗茎は毎年更新し、なおかつ旧鱗茎の下に鱗茎が作られるため鱗茎は深くなる。原則として鱗茎は分球することはない。通常栄養繁殖を行わない

カタクリの葉にサビ菌 (Uromyces erythronii Pass.) が寄生し、「さび病」を起こし枯れてしまうことがある。落葉広葉樹林は約3,000万年前に形成され、カタクリの祖先はこの頃に落葉広葉樹林に出現しカタクリに進化したと考えられている

*利用法

地下の鱗茎を日干ししたものからは、40 – 50%の良質なデンプンが採取できる。調理に用いられる片栗粉は、もともとカタクリの鱗茎から抽出したデンプンのことを言っていたものである。精製量がごく僅かであるため、片栗粉にはジャガイモやサツマイモから抽出したデンプン粉が用いられている

カタクリから採取したデンプンは、滋養保険によく、クズのデンプンのように腹痛や、体力が弱った人への下痢止め作用もあるといわれている。カタクリのデンプンを、砂糖やはちみつで甘くして、熱湯を注いでかき混ぜると半透明にやわらかく固まり、これを体力の弱った老人や幼児に食べさせると腹痛、下痢止めに役立つとされる。しかし、一般に市販されているジャガイモなどの片栗粉では、カタクリのように薬用にはならない

若葉を茹でて、お浸しにするなど山菜として食されることがある。鑑賞用の山野草として、カタクリの球根が販売されている。日本各地の群生地では、春の開花時期に合わせて「カタクリ祭り」などが開催されている

ソフィア

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