有用植物利用と健康(45)~海藻:沖縄モズク~

有用植物利用法(62)~海草:沖縄もずく~

もずくとは、モズク科やナガマツモ科に属する藻類の総称で、別名「イトモズク」とも呼ばれています。細長く糸状の藻類で、枝分かれがあるのが特徴です。

ほかの藻類に付着して成長することから、「藻付く」を語源とし、「もずく」と呼ばれるようになりました。

長さは数十cm、幅は1~数mm程度で枝分かれしており、表面にはぬめりのある多糖類が分泌されています。

熱帯から温帯の浅い海でみられ、日本では冬から春にかけて岩礁で生育し、夏ごろには枯れてしまいます。

日本で流通しているもずくの99%は沖縄県産の養殖のもずくです。

*名前の由来

「もずく」の名前は、他の海藻にくっついて育つと言う「藻付く」から由来しています。

本土のもずくはホンダワラなどの海藻の枝に生えています。

沖縄のもずくは、サンゴ礁や藻の枝葉などに養生します。

海中でゆっくりゆらぐような動きから「水雲」、「海雲」とも表現されたりします。
沖縄では、昔から三杯酢として食されている事から、方言で酢のりという意味から「スヌイ」「スヌリ」「スヌール」「スヌル」、宮古では「ススズイ」と呼び方も様々です。

春の収穫期に最初に採れるものを花もずくといいます。普通のもずくは茶色ですが、花もずくは緑がかっています。

*オキナワモズク

オキナワモズクは南西諸島で古くから食用とされており、天然藻体を酢の物や天ぷら、味噌やピーナッツ和えとして食べてきました。琉球王朝の薬膳料理としても、オキナワモズクの酢の物や天ぷらが記録されています。

1、食用とされるオキナワモズク

養殖技術が確立すると、オキナワモズクは産業規模で利用されるようになり、特にパック入りの酢モズクが全国に広く流通している

塩蔵または生のオキナワモズクを利用した料理として、かき揚げ(天ぷら)や雑煮、カルパッチョ、餃子、ヒラヤーチー、味噌汁などがある

また中国では乾燥地に生育する群体性藍藻である髪菜が縁起物の食材とされているが、この種は2000年以降採集禁止とされており、オキナワモズクがその代用食材とされることがあり、「海鮮髪菜」、「美海髪菜」ともよばれる

*成分

オキナワモズクは低カロリーであり、ミネラルや食物繊維に富む

特に注目され、健康食品などにも利用される成分として、フコイダンとフコキサンチンがある。ただしこれらの成分はオキナワモズクに特有ではなく、他の褐藻にも含まれる。

フコイダンは細胞外被のぬめり成分に含まれ、フコースからなる主鎖に硫酸基、ウロン酸、ガラクトースなどの単糖が側鎖として結合した多糖類である。褐藻に広く見られるが、種によって側鎖などの構造が異なる

抗血栓作用、抗炎症作用、抗ウイルス作用、抗腫瘍作用、免疫調整作用などさまざまな生理活性作用が報告されており、健康食品や化粧品などに幅広く使用されている。ワカメやアラメ、アカモクなど他の褐藻にくらべて、オキナワモズクはフコイダン含量が多いことが報告されている

褐藻などに含まれるカロテノイドの1つであるフコキサンチンは、抗酸化作用や抗肥満作用、抗腫瘍活性などの有用な生理活性が報告されている。ただし褐藻の中で、オキナワモズクのフコキサンチン含量は多くはない

*もずくのカロリーは、100gあたり4kcal、糖質量は0gです。

太めでやや芯のある歯ごたえが特徴の沖縄もずくでさえ、100gあたりのカロリーが6kcal、糖質量が0gしかありません

また、もずくには、ミネラルが多く含まれており、100gあたりの含有量では

・ナトリウム……90mg
・カリウム……2mg
・カルシウム……22mg
・マグネシウム……12mg
・リン……2mg
・鉄……0.7mg

となっています。

*食物繊維『フコイダン』

もずくに含まれる食物繊維は、100gあたり1.4g、沖縄もずくでは2.0gとなっています。

この食物繊維のうち主な成分はヌメリの強い「フコイダン」というものです。

フコイダンには、腸内環境を整える作用や、コレステロールを排出する、アレルギー症状を抑えるといったはたらきがあると言われています。

*もずく酢が危険・体に悪いとされる理由

1、ヨウ素の過剰摂取
ヨウ素不足になると筋力が低下したり様々な発達障害を引き起こす原因にもなる。しかし、ヨウ素の過剰摂取は甲状腺疾患やがんを誘発する可能性もあるため、常識の範囲内でいただくようにしましょう。

2、便秘・下痢の原因になる

もずくは食物繊維が豊富なため、食べ過ぎによる消化不良で便秘や下痢を引き起こす可能性がある。適量ならば食物繊維は腸内環境を整える効果があるので、1日の摂取量を意識して摂取すること。

3、1日の摂取量の目安

ヨウ素の1日の摂取量目安は、3mgです。もずく酢には1カップ当たり、約2.5mgのヨウ素が含まれているため、1日に1カップ。また、もずくは毎日食べるより、週2回ほどに抑える方が良いとも言われている。

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《参考資料:食べすぎには注意》・・・上記資料とは別の資料です。

《栄養素をたくさん含むもずくですが、「体にいいから」と食べ過ぎてしまうと、かえって体調を崩してしまう場合もあります。

もずくに含まれる豊富な食物繊維は、通常の食事では過剰摂取になることはありませんが、摂りすぎるとおなかがゆるくなったり、ほかの栄養素の吸収を抑制してしまったりする可能性もあります。

また、藻類にはヨウ素が含まれ、甲状腺ホルモンなどの材料となる非常に重要な栄養素です。

体に必要なミネラルではあるのですが、こちらも過剰に摂取すると甲状腺の機能に影響を与える場合があるため、食べ過ぎには注意。18歳以上男女の一日あたりのヨウ素の摂取量は、130µgが目安です。

そのため、ヨウ素の摂取量を考慮する場合は、もずくは一日に90g程度、市販のもずく酢なら一日3パック(1パックあたり27g程度)を目安にしましょう。》

~ソフィア~

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