有用植物利用と健康(43)~ミルラ(没薬・モツヤク)~

有用植物利用と健康(43)~ミルラ(モツヤク:没薬)~

ミルラは没薬(モツヤク)とも呼ばれます。ギリシア神話では、許されない父と娘の禁じられた愛に身を焦がしたミュラという女がその罪ゆえに、没薬の木に変えられたことから、この木はその女の名前ミュラから⇒ミルラと呼ばれるようになりました。そのためか、ミルラは心身の汚れを除く植物として昔から大切にされてきました。

古代エジプトではミルラは特上のミイラ作りに多用されました。そのためミルラ⇒ミイラと呼ばれます。イエス・キリストが生まれたときに贈り物としてもミルラが捧げられました。このくだりは新約聖書に載っています。現在でも、カトリック教会などでは場や身を清めるために専用の香炉にミルラなどに入れて火をつけて燻らせています。
さらに、古代の兵士たちは戦場に赴くときにはミルラ(おそらく膏薬のような形状で)を携帯したといいます。

*ミルラのアロマ効果

ミルラの香りはスモーキーでやや薬草っぽい、土の匂いのような印象。ですが重過ぎず、比較的すっと馴染む香りです。無気力気味のときに心に落ち着きを与えてくれます。

古くは膏薬の原料として使われたように傷に良いとされます。組織を引き締めるため、シワの予防をはじめ、歯茎のひきしめ目的で、磨き粉の材料にされることもあります。さらに喉の不調(炎症)に効果的といわれます。風邪で喉に炎症があるときは蒸気と共にミルラの香りを吸入すると良いでしょう。またルームコロンにして、例えばたくさんの人が出入りするような場所に香りを広げておくとその場の浄化になります。

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樹脂を水蒸気蒸留にて採油。

この赤色の樹脂がミルラ。これを蒸留するとエッセンシャルオイルがとれます。

参考文献
『84の精油』ワンダー・セラー著 高山林太郎訳(フレグランスジャーナル社)
『ギリシア神話ろまねすく』創元社編集部

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参考:『Wikipedia:没薬(ミルラ)』

モツヤクジュ(ミルラの木)

没薬(もつやく)とは、ムクロジ目カンラン科コンミフォラ属(ミルラノキ属)(英語版)の各種樹木から分泌される、赤褐色の植物性ゴム樹脂のことである。外国語の転写からミルラMyrrh)とも呼ばれる

「ミルラ」も中国で命名された没薬の「没」も「苦味」を意味するヘブライ語のmor、あるいはアラビア語のmurrを語源としているとされるほか、ギリシア神話のミュラーに由来するとされることもある

*分布・起源

没薬樹はスーダン、ソマリア、南アフリカ、紅海沿岸の乾燥した高地に自生する

起源については、アフリカであることは確実であるとされる

*利用

古くから香として焚いて使用されていた記録が残されている。また、殺菌作用を持つことが知られており、鎮静薬、鎮痛薬としても使用されていた。

古代エジプトにおいて、日没の際に焚かれていた香であるキフィの調合には没薬が使用されていたと考えられている。また、ミイラ作りに遺体の防腐処理のために使用されていた。ミイラの語源はミルラから来ているという説がある。

聖書にも没薬の記載が多く見られる。出エジプト記には聖所を清めるための香の調合に没薬が見られる。東方の三博士がイエス・キリストに捧げた3つの贈り物の中にも没薬がある。没薬は医師が薬として使用していたことから、これは救世主を象徴しているとされる。また、イエス・キリストの埋葬の場面でも遺体とともに没薬を含む香料が埋葬されたことが記されている。

東洋においては線香や抹香の調合に粉砕したものが使用されていた。

*近代から現在

近代以降においては主に男性用香水に使用する香料の調合にも使用されている。この用途には粉砕した没薬を水蒸気蒸留したエッセンシャルオイルや溶剤抽出物のレジノイドが使用される。

この他、歯磨剤やガムベースにも使用される。

*その他

花、特にバラの香りの分析的評価の一つにミルラ香という名前がある。

*花言葉:真実

(ミルラの花は、白色の小さな花です。8月~9月頃に開花します。)

~ソフィア~

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