有用植物利用と健康(26)~葛(クズ)~
有用植物利用と健康(26)~葛(クズ:秋の七草)~
クヌギの大木に絡むクズ
クズの花
クズはマメ科つる性の多年草(冬になっても枯れずに越冬し、翌年成長する雑草)。古くから食用や薬用、飼糧として採取されていましたが、近年ではあまり利用されることはなく空き地一面を覆う程増殖している姿が度々見られます。根にデンプンを溜めこむ性質を持っており、この栄養分により冬場に葉が枯れても越冬することができます。昔から葛粉としても利用されています。またツルは非常に成長が早く、数十メートルまで伸びることもあります。ツルは地面に触れるとそこから根を出し、別株として成長していきます。このため繁殖力が旺盛な雑草としても有名です。
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和名は、かつて大和国(現:奈良県)吉野川(紀の川)上流の国栖(くず)が葛粉の産地であったことに由来する。国栖の人が、この植物を売り歩いたため、いつしかクズとよばれるようになったという説がある。漢字は葛を当てる(「葛」で表記する場合もある)。
中国植物名(漢名)は葛(かつ)といい、中華人民共和国等の中華圏では、鶏斉根とも呼ばれる。
温帯および暖帯に分布し、北海道から九州までの日本各地のほか、中国からフィリピン、インドネシア、ニューギニアに分布している。世界の侵略的外来種ワースト100 選定種の一つである。山野の林内や林縁、土手などに自生しており、荒れ地に多く、人手の入った薮によく繁茂する。
北アメリカでは、1876年にフィラデルフィアで開催されたフィラデルフィア万国博覧会(独立百年祭博覧会)の際、日本から運ばれて飼料作物および庭園装飾用として展示されたのをきっかけとして、東屋やポーチの飾りとして使われるようになった。さらに緑化・土壌流失防止用として政府によって推奨され、20世紀前半には持てはやされた。しかし、繁茂力の高さや拡散の速さから、有害植物ならびに侵略的外来種として指定され、駆除が続けられている。
日本では古くから食用や薬用に用いられ、天然繊維の材料としても用いられている。長くて大きな根からは、葛粉がとれる。
食用
葛切り
古来から大きく肥大した塊根に含まれるデンプンをとり、「葛粉」として利用されてきた。秋から冬にかけて掘り起こしたものを砕いて水を加えて繊維を取り除き、精製してデンプンだけを採取する。葛粉を湯で溶かしたものを葛湯と言い、熱を加えて溶かしたものは固まると透明もしくは半透明になり、葛切りや葛餅、葛菓子(干菓子)などの和菓子材料や料理のとろみ付けに古くから用いられている。
あまり一般的ではないが、春先から初夏にかけて伸びるつるの先端部は、摘み取って食用にすることができ、茹でてお浸しや天ぷらなどにする。種子は一般的には食用にされない。
薬用
薬用に利用でき、日本や中国では薬物名として根を葛根(かっこん)、花が葛花(かっか)、葉は葛葉(かつよう)とよんで生薬としている。
*葛根
根を乾燥させたものを生薬名葛根(かっこん)と呼ぶ。日本薬局方に収録されている生薬で、数年かけて肥大した根が用いられる。発汗作用・解熱作用・鎮痛作用があるとされ、漢方方剤の葛根湯、参蘇飲、独活葛根湯などの原料になり、特に風邪の初期症状に用いられる葛根湯の主薬である。風邪や胃腸不良(下痢)の時の民間治療薬として古くから用いられてきた。民間療法では、5 – 10グラムを水300 – 400 ccで煎じ、3回に分けて温服する用法が知られている。葛粉で作った葛湯を飲んでも同様によいとも言われている。
クズの根の生薬には、発汗作用や鎮痛作用、血行をよくする作用などがあります。免疫力低下につながる身体の不調を整えることで病気を治す、という観点の東洋医学では、葛根湯の効能として、以下のようなものをあげています。
風邪の初期症状 鼻水、鼻づまり 肩こり 筋肉痛 神経痛 血行障害
*葛花
花を乾燥させたものを生薬名葛花(かっか)と呼ぶ。夏の開花初期の頃、房になった花を花穂ごと採取し、風通しのよい場所で速やかに乾燥。有効成分は、イソフラボン。民間では二日酔いによいとされ、葛花1 – 3グラムを茶碗に入れて湯を注いで、冷たくしてから飲む。花は焼酎に漬け込んで、花酒にする。
*葛葉
葉は随時生のものを活用する。民間療法で、山歩きなどで怪我をしたときの傷の止血に用いられ、葉を手で揉んで汁をつける用法が知られる。
繊維材料
葛の繊維で編んだ布は新石器時代の遺跡からも出土している。つるを煮てから発酵させ、取りだした繊維で編んだ布は葛布と呼ばれる。現在に伝わっている製法の葛布は平安時代ごろから作られていたとされる。
また、クズのつるは長いことから、切り取ったつるが乾燥して固くなる前に編むことで、籠などの生活用品を作ることができる。
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*葛は秋の七草のひとつに数えられるとともに、秋の季語として多くの俳句に詠われている。
原文: 我屋戸之 田葛葉日殊 色付奴 不来座君者 何情曽毛 「万葉集第十巻」2295 作者: 不明 よみ: 我(わ)が宿(やど)の、葛葉(くずは)日(ひ)に異(け)に、色づきぬ、来(き)まさぬ君は、何心(なにごころ)ぞも |
意味: 私の家の庭の葛(くず)の葉が日に日にいっそう色づきて来ました。来ないあなたはどんなお気持ちなのでしょうか。 意味: 「異(け)に」は、「よりいっそう」という意味です。 |
*クズ(くず・葛)の葉は大きく、風が吹くと見える葉の裏は白い毛が密生していて白っぽい特徴がある。そのため古来より「裏見草」と呼ばれていた。平安時代の和歌には、この「裏見」と「恨み」をかけて葛を取り上げた歌が多く詠まれている。
*「クズ(くず・葛)」の花言葉:「芯の強さ」「快活」
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ソフィア