有用植物利用と健康(15)~マルベリー(山桑・葉)③~

有用植物利用と健康(15)~マルベリー(山桑・葉)③~

~「マルベリー(山桑・実)②」の続きです。~

今回からは「桑の葉」の紹介です。

先ずは「神話・伝承」から出発!

民間では、乾燥葉を茶の代用品とする、いわゆる「桑茶」が飲まれていた地域もあります。桑茶にするクワの葉は、大きく生長した葉を収穫して天日で乾燥し、揉み潰して堅い部分を除いてすり鉢などで細かくすり潰したものを、抹茶のように湯を注いで飲んでいたそうです。

効能として、便秘改善、肝機能強化、脂肪の抑制、糖尿病予防などの研究報告もされています。

スーパーフード(スーパーフルーツ)として一部で注目を集めているマルベリー。マルベリーやミュールと言われると馴染みの無い植物のようにも感じますが、日本語で言うと桑(クワ)の実のことを指しています。

日本ではマルベリーとは“実”を指す言葉として用いられるのが一般的ですが、植物全体を指す場合の呼称でもあります。

日本でも桑は古くから木材や養蚕(カイコの餌)などに用いられてきたことが知られていますが、クワ属の植物全体としては熱帯地域から温帯地域が原産とされています。桑は日本で養蚕用に栽培されてきたヤマグワ系・中国の漢方で使われるトウグワ系・中東などで果実用に栽培されている西洋クワ系の3系統に大きくわけられます。現在は世界中で栽培されており100以上もの品種があると言われています。

原産地の一つとされる中国では生薬としてその効能が古くから知られており、約1800年前に記されたとされる中国最古の薬物書『神農本草経』にも中薬の一つとして紹介されています。桑の葉を陰干ししたものは“神仙茶”と呼ばれ、滋養強壮や咳止め・中風などに良いとされていました。近年は栄養価が高い優れた食材としてクワの実(マルベリー)が注目されていますが、漢方において桑は葉をはじめ各所に薬効があると考えられ利用されています。

生薬として実は桑椹子(ソウジンシ)として補血薬に、葉は桑葉(ソウヨウ)と呼ばれ解熱や止咳に、若枝は桑枝(ソウシ)と呼ばれ関節痛や浮腫などに、根は桑白皮(ソウハクヒ)と呼ばれ抗炎症・利尿剤として使われています。また桑を食べた蚕のフンも蚕砂という生薬として利用されています。日本でも桑白皮は“専ら医薬品”に指定されており、漢方薬の処方にも使われています。

*ギリシア・ローマ神話

ヨーロッパでもギリシア神話やローマ神話の中にも登場しています。神話の中では許されぬ恋をしたピュラモスとティズベーの二人が、白い実のなる桑の木の下で逢瀬を約束します。しかし行き違いが生じて恋人が死んでしまったと思ったピュラモスが自殺、後にティズベーも後を追って自殺してしまいます。この一部始終を見ていた桑の木は二人の悲しみと愛を伝えるため赤や紫色のマルベリーを実らせるようになったとされてます。

余談ですがこのピュラモスとティズベーは親同士の仲が悪いなどの設定もあり、戯曲『ロミオとジュリエット』の元になった神話とも言われています。また中東・中央アジア地域でも桑は栽培されており、マルベリーは救荒食としても重宝されていたそうです。

*日本の伝記

日本でも日本書紀などの原点とされる『秀真伝(ホツマツタエ)』で天照大神の孫“瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)”が薬草として用いたという伝承が残っているため、元々自生していたのではないかと考えられています。ただし5世紀頃に養蚕技術と共に、エサとなる桑の葉も伝えられたという説もありはっきりしません。

平安時代になると養蚕が行われていましたし、『和名類聚抄』や『医心方』などの記述から薬としても用いられていたと考えられます。また中国や日本では桑の木そのものに対しても厄を払うと考えており、桑の弓で蓬の矢を射る儀礼(神事)などにも用いられていました。

鎌倉時代には臨済宗の栄西が記した『喫茶養生記』には、現在で言う糖尿病と考えられる“飲水病”に桑粥もしくは桑湯を服用すると良いという旨も記述されています。 江戸時代後半~昭和半ばくらいまでは各地で養蚕用を主とした桑畑が大々的に作られていましたし、桑の実は産地の子供のおやつとして食べられていました。

・・・「有用植物利用と健康(16)~マルベリー(山桑・葉)④~」へ続く・・・

ソフィア

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参考《マルベリーリーフについて》

通称
マルベリーリーフ(Mulberry Leaf)
別名
桑の葉(くわの葉)
学名
Morus alba(真桑/白桑/ホワイトマルベリー)
Morus nigra(黒実桑/ブラックマルベリー)
科名/種類
クワ科クワ属/落葉高木
花言葉
彼女のすべてが好き・共に死のう
(白い実:知恵、黒い実:私はあなたを助けません)
使用部位
主な成分
ボリフェノール類、DNJ(1-デオキシノジリマイシン)、GABA(γアミノ酪酸)、フィトステロール、ミネラル類、食物繊維、クロロフィル
主な効果
強壮、リラックス、整腸、利尿、発汗、解熱、消炎、鎮咳、血糖値降下、抗肥満、抗酸化、血圧降下、強肝
こんな時に
貧血予防、骨粗鬆症予防、ストレス、便秘、風邪・インフルエンザ予防、糖尿病予防、ダイエット、むくみ、アンチエイジング、美肌・美白、高血圧
利用法
食用、健康茶、チンキ
お茶の味
草のような香りと味(苦味)があるが、後味は比較的あっさりとしている
カフェインの有無
ノンカフェイン

 

「有用植物利用と健康(16)~マルベリー(山桑・葉)④~」へ続く

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