白石4) 雑文集「還暦の同窓会」・(20号)

還  暦  の  同  窓  会
          白石 常介(1981、商卒)

久しぶりの同窓会。重い厚手のコートをホテルのクロークに預け、手ぶらになったところで
本日のメイン会場、一番奥の大広間へ。
「おうっ、久しぶり~っ、元気?」
「えっ、ごめん、...誰でしたっけ?」
「おいおいっ、そりゃないぜ。俺だよ、俺...」
「...あっ、あなたよね、あなた...って?」
「まぁ、外見は40数年前とほんの少しだけ変わってるけどな」
「ほんの少~しだけね...あっ、やっと思い出した。昔の面影があるわよ」
「“初めまして”って名刺を差し出すところだったぜ。こっちだって15歳に40数年の月日を
重ねて想像したら君になったんだ、実はさ...」
「そうね、ありがと。いい年の取り方してるでしょう?」
「...どう答えたらいいのか...」
「失礼ねえっ! ...まずは褒めればいいのよ、褒めれば、女性に対しては」
「ごめん、まだまだ経験不足で...」
それにしても懐かしいなあ!

卒業生の集まり 
同じ学級 クラス会
同じ学年 同期会
同じ学校 同窓会

いわゆる親睦・懇親会
あのときの 友に会いたい
あのときの 恩師に会いたい
あのときの 思い出に触れたい

でもなぜか、参加する人はいつも決まっている。
もちろん都合がつかない人もいる。
しかし、いつもいつも都合がつかないのかい?
もったいないよ!

卒業後の進学、就職、結婚、家庭、子供...
あまり話したくない人もいる。
だったら無理に話さなくってもいいんだ。
顔を出すだけ、それだけであの悪ガキのころの故郷(ふるさと)に出会えるんだぜ。
この時間は何物にも替え難いよ。
俺たちの間で遠慮することなんか全くないのさ。

自己をあまりに意識し過ぎ
他人は何とも思ってないのに
入試に失敗 入社に失敗
だったら一体何なんだ?
誰にでもある 過去の存在
良くも悪くも 貴重な体験
時間の存在 消しても消えない
なぜみんな遠慮しちゃうんだ?
もっと気軽に顔を見せればいいじゃん!

「私ね、あの学校に入ってあれをしたかったのよ。だけどね...」
「僕も、あの会社に入ってあれをしたかったんだ。だけどさ...」
「でも私、そっちの方面には行けなかったけど、かえってこっちのほうが面白くなってね...」
「僕も同じさ。小さな小さな会社だけど、やりがいが山ほどあってさ...」

もう既に 往時のフィルター 通り越し
自己の陰(いん)を引き出しながら
ちょっと斜めに光を当てる

社会的地位? 成功者?
地位や名誉や財産がある?
じゃあ 評価の対象 いったい何?
そもそも なぜ 評価をしたがるんだい?

医師 弁護士 会社社長...
それぞれ社会に貢献している、はずであるが
中には なかには いろいろと...
華々しい装いと裏腹に
営利追求のみのやぶ医者 
弱い者いじめの悪徳弁護士
金銭崇拝強欲社長...
みんなふんぞり返ってどうしたの?
目の前のお金ばっかり拾っていたから腰が痛くなったの?

自慢話の話し手は 聞き手がいるから得意げに
誰も聞かなきゃ まさにがっくり

何でも数値で比較する?
人間 そんなに単純かい?
おもてなし 無理やり数値化してみるかい?
人の心の奥深く のぞいてみることできるかい?
そんなこと できるわけないじゃん!
そんなこと 全く意味ないじゃん!

川辺にひっそり咲く可憐な花と、木枯らしに よろめきながらも立ち向かうしなやかな柳...
「ねえねえ、しなやか君、私たちあまり目立たないから誰の目にも止まらないのよね」
「確かにそんなに目立たないからね、可憐さん。でもね、別の見方をすれば、誰の目をも通り過
ぎているんだよ。ただただ意識の外にあるだけなんだ」
「そうか、そうよね。常に意識しているわけじゃあないけど、いつもそっと見られているのよね」
「そうさ。だからもし僕たちがいなくなったら、心の中ではみんなきっと寂しがると思うよ」

この世の中は自己中心、自分なしには回らない、と大きな誤解。
誰がいなくても世の中はしっかり回っている。
しかし、しかし、その存在自体 重要である。
可憐な花としなやかな柳、それが川に潤いを与え、
小川はやがて大河となり、大海原へと流れ込む。

生まれてこのかた誰にでも、その存在理由は必ずある。
ただ、あまりにも明確ではなく、それに気付いていないだけだ。
生きたくても生きたくても、それができない人もいる。
まず生きていること、それ自体すばらしいことなんだ。
お金では決して買えないもの、いちばん大切なもの、それは いちばん身近にある。
自分を取り巻く家族や友だち、...そしてそして、我が心の中にも...。

懐かしい往時と 過酷な現状
間(あいだ)を取り持つ同窓会
長~い時間と 広~い空間
誰もが有する体験談

人の器(うつわ)は決まっている
既に詰め込み過ぎた者
アップアップ 手でもがく
まだまだ隙間だらけの者
up up 余裕の上昇

過去を共有 今をも共有
さあ 明日に向かって また一歩
還暦?  人生 半分が過ぎただけさ...!

  何想う 旅の途中         千年の三春滝桜 スゴッ!

人生 これからが本番だぜっ!

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