白石2)C&Sのひそひそ話「人生の味付けー甘口」(20号)

(2)CherrieとSweetieのひそひそ話集「人生の味付け-甘口」

ここは北国のとある街角。レトロなネオンがよく似合うスナック群の一角。ママさんたちもレトロが大変よく似合う・・・いや、失礼! 宵闇迫るころ、三三五五どこからともなく働き蜂たちが蜜を求めにやってくる。甘い蜜あり、苦い蜜あり、しょっぱい蜜あり・・・当たるも八卦、当たらぬも八卦。十人十色どころか、昼と夜で十人二十色。
                             
ギ~ッ、バッタン・・・
「おばんでござんす。えへへっ、やっぱり今宵も来ちゃいました、奇麗なお姉さんに逢いに」
「あっ、Cherrie君、こんばんは。いつもいつも来てくれてありがとね。ここに来てく
れるだけで何だか落ち着くのよね、心(しん)の臓が」
「そりゃそうでしょ、いつもヨイショばっかりするか・・・いやっ、なっ、何でも」
「聞こえたわよ。あのね、いっつも思ってたんだけど、聞いてもいいっ?」
「もちのろんでござんす。で、何?」
「“奇麗なお姉さんに逢いに”って、なぜ“奇麗なお姉さんたちに”じゃあないの?」

「(ワンちゃん語で)Sweetie、今のはどういう意味だ?」
「Cherrie、ここにはママとエミちゃんの二人がいるだろ。だから “奇麗なお姉さんだけならエミ
ちゃんでしょ。じゃあ私はどうなの?” ってさ」
「おうっ、ほんとは図星!実はそ~なんです。でもさあっ、ストレートに言っちまうともうここに二度と来られねえから。もっとも、もう三度目だけどな」
「頼むよ、Cherrie。今夜の支払いは順番で僕だから」
「う~んっ、じゃあ何とかしてみるか(ワンちゃん語終了)」

「え~っ、今宵も外はめっちゃめちゃ寒かったですなあ。だからですよ、当然奇麗なママさん
のところに会いに行ってですな、暖かくしてもらおう、なんて心にもないこと・・・いや、心にもな
いことは言うわけないので、心底信頼しているマママっ、ママさんのその何ていうか優しいお
人柄のすもう部屋の金太郎山、いや、そっ、その・・・Sweetie、ヘルプのアイ、マイ、ミー・・・俺、
ちょっとトイレ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ、Cherrie・・・あ~あっ、逃げちゃった。あのぅ、ママさん、Cherrieは興奮するといつもあんな感じなんです。今だって奇麗なママに会えて超興奮しちゃって、はい」
「まあ、そうだったの。わかるわ~っ、その気持ち。この世の者とは思えないくらい奇麗な人と出会えれば、それはそれは誰だって興奮するわよね~っ。ねっ、Sweetie君?」
「はっ、はいっ、おっしゃる通りで」
「え~っと、今夜はSweetie君のお支払いの番よね」
「おっしゃる通りで、はいっ・・・」
「わかったわ。今夜の支払いはなし、もう十分楽しんだから。その分、次回にチャージしておくから。次はCherrie君の番でしょ・・・」

もうそろそろいいだろう、と、こそこそ元の場所へ凱旋のCherrie君。
「(ワンちゃん語で)はぁ~っ、身も心もすっきりした~っ。Sweetie、話は終わったか?」
「まあね」
「まあねって、どういう意味だ?」
「結果は次回わかるよ」
「次回・・・???」
 
さあ、お店の本番はこれから。今宵のお客さま軍団の惨状、いや参上。某社のプロジェクトが成功し、その打ち上げでビッグディナーを済ませ、キーマンたちがここに四四六六集まってきたというわけ。
人生の小劇場の始まり始まり・・・。

「ママ~っ、最初はまずビール。どこのブランドでもいいよ。もちろんミックスのアサントリンでもOK!・・・はいっ、では皆さ~んっ、今回は大変お疲れさまでした。それでは今後のわが社のますますの繁栄と皆さんの健康を、お~っと、それとここのお店のますますのご繁盛を祈念して、それではっ、乾~杯~っ!」
「乾杯~~っ!」
「部長さん、おめでとうございます。このたびのプロジェクトはかなりうまくいったのね」
「分かる~っ? ねえ、ママ~っ、どうしてわかるの、教えてちょうだいっ、チューしてあげるから」
「部長っ、今夜はやけにペースが早すぎますよ、もうほとんど酔っぱらって」
「何をいっとるかっ、おっ、俺はちっとも、その、ちっともだなあ、酔っぱらってなんかいねえぞぉ・・・あっ、ちょ、ちょっとちびりそうだっ、トイレ、トイレっ」
「あっ、そっちは違いますよ、部長・・・」
「(小声で)いいんだ、いいんだ、外に出て行ったらもう戻らねえから。静かになっていいよ」
「だめですよぉ、2次会は私が幹事で、ここは割り勘なんですから」
「おおっ、そうだった、そうだった。数は多い方がいいぞ。(大声で)すぐ呼んでこいっ、取り逃がすなよ、即、逮捕しろ!」
おもしろい会社だ。でも、人情味バッチリ、い~い雰囲気。

逮捕された部長殿、千鳥足でスナックの取り調べ室へ。
「・・・よっしゃあ、じゃあ今宵もそろそろカラオケ大会といこうかっ。まずは景気付けにいつものやつ歌うぞ~っ」
「えっ、景気付けなのにアレっすかあ、この席で?」
「おうっ」
「でも部長~っ・・・」
「いいから早く入れてくれっ、俺、今夜は気持ちがいいんだっ」
「はいっ、それじゃあほんとに入れますよっ」
「・・・“♪ 逃~げ~たぁ女~房にゃ 未練はな~い~が~”って、そうじゃないって、こっち、こっち、こっちのほう。そう、これこれっ‘親指の想い出’ ・・・“♪ あなたがっ、神田っ、私はっ、上野っ・・・”

どんなことがあってもマイペースを崩さない人、既に崩れてソファーで高いびきをかいている人、それを冷ややかな目で見ながら携帯をいじっている人。いっときたりとも止まることのないそれぞれの人生・・・

今日も一日 人生減って
減った分だけ 経験重ね 
人 それぞれ何想う
過ぎ去りし日の後悔か 
目の前にある現実か
それとも 未来の夢物語

ひとり 孤独にさいなまれ 
口をつくのは愚痴ばかり
手が届くのに ぐっと我慢 
内心とはうらはらに
心の内を知られたくない 
可憐な華に目配せすれば 
“あ~ら、目にゴミ?” 
実にがっくり
届きそうで届かぬ心 
想っているのは本人ばかり

企業戦士の憩いの場 
潤んだ瞳と 乾いた瞳
今宵も上手に 二刀流
心身ともに 優しく包む

いつも帰りは一人旅
次こそ期待 結果沈没
それでも男の旅は続く
果てしな~く 果てしなく

夜のしじまで英気を養い
背後で家族に支えられ
明日も一日 がんばるぞ~っ

   

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