ソフィアさんちのチルちゃんと僕(7)~雑談とは⑥~
「オオゴマダラちゃんがお迎えにきたよ!」
「おしゃべりが相当長くなったわね。天国の門が閉まる時間が近づいてきたわ。」
《古典音律(ウェルテンペラメント)で調律したピアノでのシューベルトの歌曲は、特にすばらしい音楽となりました。
シューベルトのピアノ曲アンプロンプテュ(即興曲)op.90 D.V.899 No.3 Andante では曲の調子記号は♭が6つついています(変ト長調)。
でもそんな難しそうな楽譜は売れないと判断した出版社は、移調して♯1つの調子記号(ト長調)に変えて出版しました。しかし近年、シューベルトの自筆楽譜が発見されたため、現在では原曲に従い変ト長調で出版されています。
しかしその調性変化の再現は、シューベルトが使っていたと考えられているヴェルクマイスター音律に調律されたピアノでなければ不可能なのです。
以前、自宅で開催してきた「ミニミニコンサート」では毎回その曲も演奏しましたが、その調子の異なる2曲の雰囲気の違いには、皆さん大変驚かれていました。
ヴェルクマイスター音律は、調子記号による調性感をはっきり表出できる音律です。
それに比べ、響きの全てがわずかに不協和を生じる、平均律(1オクターブを12等分する日本の平均律)は調性的にモノクロなのです。
自然の共鳴に基づいた音律と、1オクターブを機械的に12等分した音律では全く異質なものと考えるべきであろうと思います。
12等分平均律では~らしき曲は再現できても、~らしき曲はシューベルトの想念から生まれた曲ではないのです。
とまれ! 又脱線してしまった。しかしこれが雑談のいいところなのです。》
「あっ!ソフィアさんが帰ってきた!」「メモを早く戻して!」
「さあ、みんなで早く天国に戻りましょう~」
~雑談とは~終わり。