万葉の花々(20)~ねぶ(ネムノキ)~

万葉の花々(20)~ねぶ(ネムノキ)~

我妹子(わぎもこ)が 形見の合歓木(ねぶ)は 花のみに

咲きてけだしく 実にならじかも

  大伴家持(おほとものやかもち)

            (巻八 一四六三)

現代訳:あなたの形見のねぶの木は、花だけ咲いて、ひょっとすると実を結ばないのではあるまいか。

「合歓木(ねぶ)は、ねむり木や合歓木(ごうかんぼく)・合歓(ごうかん)などともいわれる。夜間、小葉が閉じて睡眠するのでこの名前がある。

夏、紅のついた牡丹刷毛(ぼたんはけ:化粧用の刷毛)のような花が、小枝の先にいっぱい咲く。長く伸びる多数の糸状のものは雄しべで、根元は白いが先になるほど紅色が鮮やかである。絹糸のような輝きが感じられる。

毎日、新しい花が一つ、また一つと順に咲く。花の咲いた後は莢(さや)になり豆果ができる。

楊貴妃と並ぶ中国の美女の代表、春秋時代の“西施(せいし)”は合歓の花のようだ、と称えられている。

*柳沢十五万石の名残りをとどめる郡山城跡の南西に永慶寺(えいけいじ:奈良県)がある。静寂な境内には合歓の木が高く、低く立ち並んでいる。

陽がのぼり始めると、朝霧をあびて花がキラキラと輝く。日の出からわずか一時間、たとえようもない美しさがかもしだされる。

『やまと花万葉』より

ソフィア

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