杉本5)服部禮次郎会長との書簡・・・(6号)

 〔服部禮次郎会長との書簡〕

                           杉本 知瑛子(平成9、文・美卒)

平成25年1月22日、慶応連合三田会会長、(社)福澤諭吉協会理事長の服部禮次郎会長が

逝去されました。

謹んで哀悼の意を表します。

私の師、故中川牧三(元日本イタリア協会会長、元関西日本イタリア音楽協会会長)先生と

服部禮次郎会長とのご親密なご交友のお陰で、服部会長は私が初めて三田会活動に参加して20年ぶりに歌ったオペラ(トスカ)を中川先生の代わりに聴かれるため、6年前「慶友三田会創立40周年記念大会」にご列席、来阪してくださいました。

(その時は「ウエルテンペラメントの世界」として30分、オペラとリートの演奏をさせて頂きました)。中川先生が105歳で亡くなられる半年前のことでした。

2年前大阪慶応倶楽部に入会後、服部会長が慶応でどのような存在の方なのか、はっきり存じ上げもせず“メールを使って塾員の交流を”と「諭吉倶楽部」なるものを作り友人達とささやかな活動を始めた私は、会報第1号の文書を私信と共に服部会長に送ってしまいました。

会長からはすぐにお返事をいただき、中川先生や私との私的内容に添えて福澤先生についてのコメントも寄せてくださいました。

その後、体調を崩されるまで会報第2号、第3号の一部も私信と共に送らせて頂きました。

その度に貴重なアドバイスもいただきました。

これからももっともっと頂きたかったアドバイス、でももう二度と頂けなくなったアドバイスを今、ここに掲載させて頂こうと思います。

私からの書簡は1回目と3回目は完全なる私的内容ですので、2回目のみ掲載いたします。

服部会長からの書簡も私的内容は省き、コメント部分のみとさせて頂きました。

服部会長と中川先生とのご親交をご確認くださった、大阪慶応倶楽部の錢高一善会長と津田晴史

幹事長そして大坂慶応倶楽部幹事長時代に中川先生ともども多大なお世話を頂いた元(株)毎日放送の荘田忠雄様には、心より深くお礼を申し上げます。

諭吉倶楽部会報掲載添付文書は、規定でA4、2枚以内となっておりますが、今回は特に貴重な

アドバイスや励ましを頂いた書簡掲載として4ページとなりましたことご了承お願いいたします。

                  

(2011,10,23:関西合同三田会in神戸:服部会長との記念写真)

服部 禮次郎会長より(2011,12,9、縦書き御自筆文書)

拝復、お手紙ありがとう存じました。

神戸の関西合同三田会のときの塾長ならびに大阪のみなさんとの記念写真もうれしく頂戴いたしました。

オペラ復帰のお話、また諭吉倶楽部のお話、それぞれ興味深く拝読いたしました。~

『福翁自伝』は読めば読むほど面白く、「要約」の2ページ2行目の「徳川家の藩医の子」とあるのは原文では「或る徳川家の藩医の子」とあって、彼(手塚良仙)は「分家の水戸藩の、そのまた

分家(石岡藩)」の藩医の子で、明治になってから軍医になり西南戦争に従軍して戦死。

その曾孫(ヒマゴ)が鉄腕アトムの手塚治虫です。~

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2012,3,10

服部 禮次郎 会長様

杉本 知瑛子 

拝啓、土筆の顔を探しに 野山に出かけられる日も、もうそこまで来ております。

会長様には、お変わりなくご健勝のことと拝察いたしております。

先日、「諭吉倶楽部」会報第2号をメール配信致しました。

ここに、掲載文の一部を同封させていただきました。

拙い文ではございますが、ご笑覧頂けましたらこの上ない喜びと存じます。

 

会報第2号より、井田 良(慶応常任理事)先生にも、メール配信をご了承いただき、会報をご覧いただいております。

井田先生は、音楽・特にバッハがお好きだそうで、私が会報に掲載致しました「古典音律」にもご興味を持っていただき、感謝いたしております。

伊藤忠丸紅テクノ(株)の、町田健司(S.54、法・大阪慶応倶楽部)さんが、今年の1月より

台湾へ転勤されました。活動家の町田さんは、台湾で「諭吉倶楽部」の会報を、台湾の各三田会の方々全員に配信して下さいました。そのおかげで次号より台湾在住の台湾三田会会員の方々による「台湾だより」(仮題)を送って頂けることになりそうで、今からワクワク致しております。

第2号より参加してくださった、坂本浩一(S.58、法・大阪慶応倶楽部・(社)福澤諭吉協会会員)さん、会報発行決定より発行日迄の短期間にかかわらず、第1号より会報執筆にご参加を表明してくださった住友商事(株)の山根昭郎(S.50、法・大阪慶応倶楽部)さん等、大阪慶応倶楽部の方々には全面的に応援ご協力を頂き、本当に心強く思っております。

前回、服部会長から頂きました『福翁自伝』要約文の「補足説明」は、本当に有難く、私達に

とっては大変な励ましとなりました。

「補足説明」文は、会報第2号のメール本文に掲載させて頂きました。

真に有難うございました。

慶応の同窓会組織の団結力の凄さには、(中川先生が常に仰っておられましたように)身震いするような感動と共に、今改めまして慶応を卒業させていただきましたことの幸せを感じております。

私のようなものでも、慶応塾員の仲間に入れて頂いているという思いに、これからは少しでも塾員として恥ずかしくないよう、努力しなければと心に命じております。

それもこれも、服部会長のご存在があるからと、心より感謝致しております。

私が慶応の通信課程に在籍いたしておりました時、当時の通信教育部長(故)三浦和男(哲学者)教授が、「君は慶応でも音楽を専攻すべきだ、慶応にも音楽(美学)はある」と仰って、その当時の通信課程にはなかった学科「美学」を創設してくださり、先生のご友人である中野博司(音楽学者)教授をご紹介くださいました。

その上、通信課程の全卒業生のためにと言われ、卒業証書からご自分の肩書きと名前を外され、

一般課程卒業生と通信課程の卒業生が、同じ卒業証書を授与されるようにして下さいました。

又大学の事務局と一丸となって、通信教科書の大改革も断行されました。

それ以前の教科書は、内容というより文字的に、どの科目も大正時代の書物(旧かな使いで)を読んでいるようで戦後教育を受けた私にはとても難解で、読みづらいものが殆どでした。

大学の先生方と事務局を動かし、通信の教科書大改訂という難事業を果たされた三浦和男先生のお陰で、多くの通信課程の学生は(たとえ卒業できなくとも)慶応の恩恵を受けることができました。

私が気付かないうちに十年もかけて「哲学とはなにか」を教えてくださっていた三浦先生をはじめ、大学の先生方、事務局の方々、慶応から受けたご恩は今でも忘れることができません。

私が慶応で、一般学生と変わらない「美学」学士の卒業証書をいただけましたのは、慶応の日本(世界)での存在価値をよくご存知だった中川牧三先生と慶応の良心ともいえる三浦和男先生のお陰だと思っております。

慶応の同窓会が、他の大学同窓会の模範とされている組織であるということは、慶応の幼稚舎から大学まで続く学生時代からの一貫した友人関係を持たれている方々の固い友情と団結心、そして創立者福澤諭吉先生の精神がその基礎となっているのではと拝察致しております。

その慶応同窓会組織の頂点におられます服部会長と中川先生とのご縁で、私まで服部会長へ直接御文を出せます光栄に浴し、中川先生はもとより服部会長には心よりお礼申し上げます。

秋の関西合同三田会(泉州)で、

服部会長に再びお目にかかれますことを楽しみに致しております。

乱筆乱文お許しくださいませ

かしこ

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服部 禮次郎会長より(2012、3、18、縦書き御自筆文書)

拝復、「諭吉倶楽部」会報第2号掲載の諸論文

お送りいただき ありがとう存じました。

杉本さんご自身の「定説への疑問!」、

小西さん、山根さん、坂本さん、古川さんの

それぞれの論文あるいは物語り、拝見いたしました。~

~関西合同三田会は、ことしは例年よりも早く、9月2日開催の由

またそのおりにおめにかかれることを楽しみにして居ります。

時候定まらぬおりからくれぐれも御自愛いのり上げます。

敬具

六月十八日

服部 禮次郎

杉本 知瑛子様

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服部 禮次郎会長より(2012、7,14、縦書き御自筆文書)

拝復、暑中お見舞いの御手紙ならびに「諭吉倶楽部規約」その他のリポート等

お送りいただきありがとう存じました。

皆様の御勉強ぶりを拝見し、敬服いたしました。

『学問のすすめ』はこの頃は現代語訳が出廻っていますが、やはり原文と読みあわせてみないと、

福澤の“精神”がよく伝わって来ないと思われます。

『福翁自伝』は読みやすいので皆さんお読みでしょうけれど、これもただパラパラ読みとばすだけでなくて、よく読み込んでみると、福澤の姿がだんだん見えてくるでしょう。

いずれにしても、

みなさまのますますのご活動をさらに活発に展開されますようおいのり申し上げます。

まずはお礼のご返事まで

敬具

七月十四日

服部 禮次郎

杉本 知瑛子様

猛暑のおりから御自愛いのり上げます

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              〔合掌〕

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