杉本知瑛子(47号):想い出の花《ハーブと野草》
想い出の花《ハーブと野草》
杉本知瑛子(H,9、文・美(音楽)卒)
ハーブや野草などの話は、45年以上前中川牧三先生(日本イタリア協会会長・元関西日本イタリア音楽協会会長)から教えて頂いたのが最初です。
当時、先生は日本とヨーロッパで半年ずつ生活しておられて、オペラの勉強をするための根本は西洋の精神を知ることである、と考えておられていました。なので西洋の歴史や哲学・文学・地理・気候風土、生活様式まで知らなくてはオペラを歌うことは出来ないと常々仰っていました。
例えば、西洋の歴史と言っても音楽が何となく始まったローマ時代からの歴史ではなく、もっと昔、古代ローマ・ギリシャ時代かというと、そのずっと前の時代・文明というものが生じていない時代からの知識なのだそうでした。そのころその地方に住んでいた人がどんな住居でどんな衣類を着、どんな空気の中で何を食べていたか、そこから歴史は始まり国家や宗教が生まれ、音楽が生まれる。楽譜がまだなかった時代でも人々は歌を口ずさみ太鼓のリズムで音楽を奏でた。
音楽はまさしくそのような文明の始まりの中から生まれ、洗練されてくるのである。と教えられました。
日本の音楽家の中でこのような人類の原点にまでさかのぼった知識を必要と言われるような方はおられませんでした。
そして、そのころの先生はハーブを西洋人がしているように、薬としてまた体に役立つ植物として取り入れておられました。
私がハーブという言葉を聞き、ハーブティというのを飲ませて頂いたのは、それが西洋の歴史の中に息づいている植物であり、薬草であり食物だからなのです。西洋の生活そのものだからなのです。
そういった西洋の生活が西洋音楽を勉強している学生にとって普通の生活にならないと、西洋の音楽を血肉の通った音楽として演奏・表現することはできないということを、ハーブティを通して教えられたのだと思っています。
そういった文明の中での思考の重要さは、私が日本人である以上日本の文明の中でも考えなければなりません。
西洋のハーブティは日本のお茶であり薬草茶なのです。日本の風土に根ざした健康法はそういった野草、今では雑草と言われている生命力豊かな草たちなのです。
西洋音楽は日本の風土や生活様式から生まれたものではありませんので、現代でも完全理解には無理があると思っていますが、人間だってそうです。現代の生活の中から生まれる音楽は機械仕掛けの音楽であり、自然の協和音・癒しの響きとは無縁の代物と言って過言ではないでしょう。
とまれ!こういう話は延々と続きそうなのでまたの機会にして。
ここからハーブや野草・雑草への興味が始まり・・・化粧水やヘヤートニックの試作にもなり、年齢を重ねても小じわのない皮膚と、少なくならない毛髪の話になるのです。
日本の地に根を張る雑草と言われる野草は、大昔、それは民間では薬として利用されてきました。
それを今新たに本当かな?と見直すというのはとても楽しいことです。
雑草ならどこにでも生えているし、雑草にわざわざ化学肥料を撒くおかしな人もいないでしょう。
除草剤は撒かれるかもしれませんがそれは人間にも動物にも良くないので、雑草?でも自宅栽培を心掛け、都市部でも犬の散歩道以外の雑草を野草・薬草として見直し、自分で実験をして30歳は若返って見えれば人生100歳時代を楽しく生き抜くことが出来るのではと考えています。