杉本知瑛子:54号ソフィアの野草有効利用法:健康長寿を目指す「抗炎症食」(16)

「体内の慢性炎症を抑える食品」7選

最近話題の“抗炎症食”は、体内の慢性炎症を抑えてくれる食品を中心に摂取する食事法。しかも、この条件にマッチする美味しい食材は意外と多い。

 そもそも炎症は体の自己防衛手段で、私たちがケガや病気をしたり、有害な病原菌と戦ったりするときに発動される免疫反応の一部。切り傷周辺が赤くなったり、捻挫で足首が腫れたりといった“急性”の炎症は決して悪いものじゃない。

でも、“慢性”の炎症となると話が別。治癒のために生じる一時的な炎症と違い、慢性の炎症は長く居座り、静かに体内を混乱させる。

 たとえば、内臓脂肪が出す炎症物質によって血管や肝臓にダメージが蓄積されたり、脳や腸の神経がじわじわと炎症で刺激されて不調を引き起こす――こうした「静かな炎症」は、気づかないうちに私たちの健康を蝕んでいる

 炎症が長期化(慢性化)すると、組織が少しずつ傷ついて、体の正常な機能が妨げられてしまう。その結果、心疾患や2型糖尿病、関節炎、さらには一部のがんといった深刻な問題のリスクが高まることも。だからこそ取り入れたいのが、体内の炎症を和らげてくれる食品。

 

体内の慢性炎症を和らげる食品 

*脂の多い魚

サーモンやサバ、イワシのような脂の多い魚には、体内の炎症マーカーを減らすことが証明されたオメガ3脂肪酸(EPAやDHA)がたっぷり。

科学情報誌『Molecules』掲載のデータは、脂の多い魚を頻繁に食べていると、そこに含まれるオメガ3脂肪酸の働きで、潜在性(無症状)の炎症が改善することを示している。

 *クルミ

クルミは抗炎症作用を持つ成分の優秀な供給源なので、バランスの取れた食生活に是非とも加えてほしいアイテム。オメガ3脂肪酸の一種であるα-リノレン酸(ALA)がクルミほど豊富なナッツは他にないと言われており、その含有量の高さから、クルミには抗炎症作用があるという研究結果も。科学情報誌『Antioxidants』掲載のデータによると、クルミには抗炎症作用と抗酸化作用のあるウロリチンという物質も含まれている。

そのうえクルミには、ポリフェノールも含まれているというからスゴイ。ポリフェノールは、慢性炎症の一因となる酸化ストレスと戦う抗酸化物質の一種。

 *クランベリー

クランベリーは強烈な抗炎症作用を持つ食材。このフルーツに含まれるポリフェノールとビタミンCは、酸化ストレスを食い止めて、体の抗酸化能力を高め、炎症を抑えるのに役立つことが分かっている。クランベリーの皮には、抗酸化作用、抗炎症作用、抗がん作用を併せ持つ植物化学物質のウルソール酸もたっぷり。

クランベリーに鮮やかな赤い色を与えているのは天然色素のアントシアニンで、この成分にも抗酸化作用と抗炎症作用がある。

クリエイティブな方法で料理に取り入れ、甘酸っぱい風味を楽しもう。

*本物のお茶

ここで言う本物のお茶とは、チャノキから抽出される緑茶、紅茶、白茶、ウーロン茶など。

本物のお茶はカテキンやフラボノイドなどのポリフェノールを高濃度で含んでいるため、体内の炎症の緩和に役立つ。その中でも緑茶には、体の炎症反応を抑制するエピガロカテキンガレート(ECGC)という特に強力な成分が含まれている。

また、栄養学専門誌『Journal of Nutrition』掲載の論文によると、ある研究では、お茶などに含まれるポリフェノールの摂取量が多い人は、炎症マーカー(C反応性タンパクなど)が低いことが証明された。

 *アボカド

アボカドは、炎症を抑えることで知られる複数のビタミン、ミネラル、植物化学物質を含む食材。高脂質の食生活や食べ物は、体内の炎症と健康状態を悪化させるというエビデンスがあるのは確か。でも、全ての脂肪酸が体内の炎症に同じ影響を与えるわけではない。飽和脂肪酸が豊富な食品は炎症マーカーを上昇させる一方で、不飽和脂肪酸(アボカドに含まれる脂質もコレ)は炎症マーカーを低下させる。栄養学専門誌『European Journal of Nutrition』に掲載された論文も、アボカドは確かに脂質が多いけれど、それを摂取することで炎症マーカーが上昇することはないとしている。

専門家のアドバイス:抗炎症食では、ハンバーガーにアボカドを加えるのがおすすめ。食品科学専門誌『Food and Function』に掲載の研究結果は、健康な男性がハンバーガーと一緒に中サイズのハス種のアボカド1/2個を摂取すると、ハンバーガーだけを食べたときよりも、体内の炎症に関連する物質が作られにくくなる可能性を示している。

 *スイカ

有益な栄養素を豊富に含むスイカも、抗炎症食で活用したい食材の1つ。スイカに赤やピンクの色味を与えているのはリコピンという天然色素で、『Molecules』掲載の論文によると、このリコピンが枯渇するのは、軽度の炎症の初期サイン。よって、健康的なリコピンレベルを維持すれば、体内の炎症レベルも健康的な範囲内に抑えやすくなるかもしれない。

さらにスイカには、炎症の緩和と免疫力の強化に欠かせないビタミンCも含まれている。

 *オリーブオイル

強力な抗炎症作用を持つことで広く知られるオリーブオイル。この抗炎症作用には、オリーブオイルに含まれる一価不飽和脂肪と、オレオカンタールなどの抗酸化物質が関係している。オレオカンタールは鎮痛剤のイブプロフェンに似た抗炎症作用を発揮するため、オリーブオイルは体内の炎症を自然に軽減したい人にとって理想的なアイテム。栄養学専門誌『Nutrition』掲載のデータも、オリーブオイルを摂取すると、インターロイキン-6という炎症マーカーが低下することを示している。

 

◎抗炎症食の基礎知識

抗炎症食は万人向けの食事プランでもなければ、レモンウォーターや唐辛子を使った奇妙なクレンズでもない(そういうのは本当にダメ)。これは、栄養価の高い自然食品を重点的に摂取して、体本来の防御力を高めるための食事法。ポイントは、カラフルな植物とヘルシーな脂質の摂取量を増やす一方で、超加工食品、砂糖の多い食品や揚げ物の摂取量を減らすこと。そして食卓の主役になるのは、野菜とフルーツ、全粒穀物、ナッツ、シード、オメガ3が豊富な脂の多い魚(サーモンやサバなど)。

 抗炎症食では、強力な抗炎症作用を持つハーブやスパイス(ウコン、ショウガ、シナモンなど)も重要な役割を果たす。また、トランス脂肪や飽和脂肪ではなく、オリーブオイルやアボカドのようなヘルシーな脂質を選ぶことも大切。そして、通常の水分補給に、緑茶をはじめとする抗酸化物質たっぷりの飲み物を加えれば、この食事法の効果が増すはず。

 地中海式ダイエットは世界的に人気のある抗炎症食の1つで、その名の通り、地中海に面した国々(ギリシャやイタリアなど)の伝統的な食生活からヒントを得ている。食卓の中心は未加工の自然食品。これには、新鮮な野菜やフルーツ、全粒穀物、豆類、ナッツ、シード、ヘルシーな脂質(オリーブオイルや脂の乗った魚)が含まれる。赤身肉と加工食品を制限する一方で、乳製品と鶏肉は適度に摂取するのも地中海式ダイエットの特徴。

 

◎結論

抗炎症性の食品を普段の食事に取り入れるのは、健康状態の改善に向けた大きな一歩。抗炎症食は融通が利き、誰にでも簡単に始められるから素晴らしい。しかも、厳しい食事制限を設けたりせず、ヘルシーな自然食品で体を養うことに重点を置いている。重度に加工されたスナックの代わりに新鮮なフルーツを食べたり、ひとつかみのナッツを食事に添えたりといった小さな変化も、積み重なれば大きな変化に。抗炎症食は、今日明日の活力だけでなく、将来の健康も支えてくれるライフスタイルと言えるだろう。

※この記事は『Prevention』からの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載した文を参考にしています。(杉本知瑛子)

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◎抗炎症食で健康長寿を目指す 日常に取り入れたい食材まとめ

炎症は自然な反応ではありますが、適切にコントロールされないと慢性化し、体に悪影響を及ぼすことがあります。 抗炎症食は、心臓病や糖尿病、がんなどの予防に役立ちます。

健康で長生きするために、摂りたい食材を紹介します。

1,緑茶にはカテキンという抗酸化物質が含まれており、強力な抗炎症作用があります。慢性炎症やそれに関連する病気のリスクを下げる効果が期待できます。

2,ウコンにはクルクミンという成分が含まれており、体内の炎症を抑えることで関節炎などの症状を和らげ、健康の維持に役立ちます。

3,ショウガにはジンゲロールという成分が含まれ、筋肉や関節の痛みを軽減し、消化の改善や腹部の膨満感の軽減にも効果があります。

4,オリーブオイルはオレイン酸とポリフェノールが豊富で、これらには抗炎症作用があり、抗炎症薬に似た働きをすることが知られています。

5,サーモンはオメガ3脂肪酸を豊富に含み、これらには強力な抗炎症作用があります。特に関節炎のような炎症性疾患に効果があるとされています。

6,ベリー類にはアントシアニンという抗酸化物質が多く含まれ、炎症や細胞の損傷を抑える働きが。酸化ストレスや慢性炎症から体を守るのに役立ちます。

7,ブロッコリーにはスルフォラファンという成分が含まれ、炎症を抑え細胞を保護する効果があります。また、食物繊維、ビタミンC、その他の抗酸化物質も豊富です。

8,クルミはオメガ3脂肪酸(特にALA)を多く含み、抗炎症効果があります。また、抗酸化物質や食物繊維の供給源としても優れています。

9,アボカドはオレイン酸などの健康的な脂肪を豊富に含み、抗炎症作用があります。さらに、食物繊維、抗酸化物質、ビタミンEも含まれています。

10, パプリカや唐辛子などのピーマン類にはビタミンCとカロテノイドが豊富に含まれており、抗炎症作用があり、細胞をダメージから守る働きがあります。

11、 カカオにはフラバノイドという抗酸化物質が含まれ、抗炎症作用があります。適量の摂取で炎症を抑え、心血管の健康改善が期待されます。

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