野村4)福澤諭吉全集の牛歩研究(4)・・・28号

「福澤諭吉全集の牛歩研究と、今の仕事と、塾の理系話題その4」

                       野村 政直 (平成15、経)

今年の夏休みは職場が変わった影響で研究所勤務時代の様に1週間纏めて休む事が出来ず、また梅雨頃から異常に暑い夏となったので、涼しい近場で、これ迄家族で行った事の無い処へ行こうと検討しました。 その結果、諏訪湖と山梨に行って見ることにしました。結果的に涼しくなった9月中旬の3連休で職場に迷惑を掛けることもなく快適にドライブ旅行が出来たので、良い選択だったかなと思います。金曜日の午後に滋賀の栗東インターから諏訪インターまで高速道路を約4時間のドライブで出かけました。途中恵那山トンネル8.7kmは、今のトンネルのような緩いカーブ設計ではなく、直線のトンネルなので抜けるまで随分と長いトンネルだなと感じました。大昔に中央高速道路を車で走ったとき、ランプウェイの少ない暗い道で、イギリスの田舎道や、ドイツの夜の高速道の様に走りにくいなと感じたのを覚えていますが、今は中央分離帯と両側の走行車線に反射鏡がずっとあり、自分のヘッドライトで車幅が良くわかるので、良いアイデアで走りやすくなったものだと思いました。また、長距離トラックの後ろ側に車の大きさが良く分かる反射鏡をつけて走っている貨物トラックが多く、これも夜間走行に良いアイデアと思いました。スピード違反の検出システムも3つぐらいある事が分かり、特に地中に埋められているLHシステムのループタイプには120 kmで走行時には注意が要ることが良く分かりました。何でも自分で経験してみるべきと思います。夜間の東名高速は長距離トラックが多すぎるので、時間的な余裕が有るときには、中央高速を使った方が高速の混雑具合的には楽かなと思いました。諏訪大社を通って下諏訪の温泉に一泊して、翌日山梨県大月にあるリニア見学センターに行きました。時速500 kmの実験走行を何度も見ることが出来、その速さと独特な音に驚くと共に次の高速鉄道として2027年からの東京と名古屋での運行開始が楽しみです。その後にシャトーメルシャンや勝沼の「ぶどうの丘」を訪問し、甲州ワインの本場で色々と勉強することが出来ました。今やヨーロッパ人が賞賛する日本のウィスキーと共に、国内外で評価の高い日本のワイン産地を直接訪問してみて、その歴史と今の高品質製造実態を具に見ることができ、「ぶどうの丘」で試飲できるワインカーブはお奨めのスポットでした。多くのワイン好きが試飲してから買い求める人気ワイン銘柄を選んで買って帰りましたが、やはりどれも日本食と日本人の舌に合う良い品ばかりでした。名ばかりで値段の高いフランスワインを国内で無理して買うよりも、日本の気候風土に適した甲州ワインを安価に楽しんだ方が賢明な選択と思われました。武田信玄神社もお参りし(参道の長さにびっくり)、甲州名物の信玄餅を買い求め、生食ぶどうを買って帰りました。信玄の隠れ湯で有名な温泉も2日間、ゆったりと寛ぐことが出来ました。山梨からの帰りに高速道路でヒッチハイク中の信州大学工学部の学生さんを乗せることになり、一緒にドライブしました。彼は京都市の友達宅に遊びに行く道中で、休みが取れる時には日本中をヒッチハイク旅行しているとの事で、各地の話題を面白く車中で聞くことが出来ました。旅は道ずれ、世は情けと短い夏休みを家族で楽しむことが出来ました。

さて連続掲載している福沢諭吉全集からの話題ですが、今回は第二巻の途中からです。140-141 頁辺りで、イギリスやフランス国内移動について、蒸気車と蒸気船でとても楽で早く移動でき、その値段も紹介しています。又市内のバス路線も今の東京や大阪市内の路線バスの様に安価で便利であることを実体験から報告しました。自国との違いを迅速に見抜き、その実態を国内関係者に分かるように書物にまとめ、情報を自国に生かした記事でした。また153頁辺りでは、「西洋旅案内付録」として、外国に行って交易商売をするには、彼国の商法を知らざれば必ず不都合なりと記し、知らずにビジネスをするのは、素人が碁を打つのと同じと述べています。どの分野の仕事においても、諸外国と交流してビジネスを進めるには、それぞれの国ごとの商法や取り決めを良く理解した上で行わないと、良い品を持っていてもビジネス的には成功出来ず、関係者に迷惑を掛けることにもなるので、国際ビジネスにおける交流の推進において、商法などの勉強や理解の必要性を逸早く紹介しています。また164頁辺りで、荷物損害時の保険制度を紹介しています。日本における保険業の導入の引き金にもなったものと思われます。

177頁では1860年代から1870年代のロシア文盲率は大変高くて、当時の国内平均として、140人に1名ぐらいしか読み書きが出来ないと紹介しています。江戸時代から寺子屋制度で庶民レベルでも子供に教育を広め、明治政府以降も学校教育に力を注いだお蔭で日本は文盲率ゼロの高教育国家と賞賛されますが、ロシア文学で有名なのに、庶民レベルでの教育の低さは驚きで、その事実を「約11国記」中で福沢先生は紹介しています。第二巻のかなり先になりますが、581頁辺りでは、人間交際の大事に関し、或いは益をなし、或いは害をなし、その禍福の源たるべきものは、教授先生の風俗とその人格の高下に在ること知るべし。とも記しています。帝政ロシアを滅ぼした後、共産体制に国を持っていくしかなかったロシア政府の力の集中と施政方針の理由として、庶民レベルの教育水準が高くなかった点を挙げることができるのかもしれません。日本の明治維新による大きな時代の変革は、確かに藩閥制度からの脱却としてそれを推し進めた武士階級の人々の活躍が書物として取り上げられますが、実態の1つとして、その様な変革の大元として庶民レベルでの教育水準の高さと次の時代を考える庶民レベルの知的水準が醸造されていたとも言えないでしょうか。

話は大きく変わりますが、日本の多くの企業では自社の活動報告として、CSR(Corporate Social Responsibility)報告書を毎年発行し、企業の生産活動や財務体質だけではなく、地域社会への貢献や環境問題への貢献や、省エネルギーへの取り組み、廃棄物対応など、様々な視点からの企業活動報告を一般向けに毎年行うようになってきています。今やこのCSRレポートの内容の良し悪し、社会貢献度の程度により、企業の評判やランク付けがなされる時代になってきたと言っても過言ではありません。勿論このCSR報告書は民間企業に限られたものではなく、公的な組織や団体でも定期的に発行しているところもあり、単に企業活動からの社会貢献度の公開情報だけではなく、様々な活動団体の社会貢献度を読み解くのに有益な冊子となっています。そんな報告書を企業内で作成するのも担当責任となり、民間企業の職場と地域コミュニティーとの連携がまだまだ不十分なのが分かりました。地域住民と良く交わり、その地域に貢献する企業実態が多い欧米文化と比べて、日本企業ではまだまだこのCSR活動が遅れている感を受けます。

今年の夏は異常に暑い日が多く、企業活動も省エネルギーを進めつつ、熱中症にも気を配りながらの各種生産活動となりました。今の省エネルギー活動では、CO2ガスの排出削減が大きな課題の1つですが、貨物輸送に必要なエネルギーを省エネする動きが注目されており、政府の削減計画もその辺りに重きが置かれる法制度修正が出てきています。例えば、宅配便による再配達をゼロに持っていく努力は省エネに繋がるので、時間指定をして宅配便を配達できると民間レベルでの効果的な省エネになります。CO2ガスの排出削減の不備がなぜ地球温暖化に繋がってしまうのかですが、このガスの大気中でのカーテンの様な放射熱遮断効果に一因があります。今はCO2ガス層の厚さが北半球のユーラシア大陸を中心に相当に分厚くなってきており(中国の石炭消費)、夏場の太陽エネルギーの放射現象が遮られ、地球表面に熱が貯まる構造に変わってきています。それでそのCO2ガスの削減が多くの会議で共同採択され推進されていていますが、経済活動を進めるのと反比例となるので、進み具合が遅れています。尚紙面の都合で塾の理系話題は今回も割愛させて頂きます。

(野村政直:医学博士・石原産業社長室・慶友三田会会長)

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