野村14)福澤諭吉全集の牛歩研究その14・・・38号

「福澤諭吉全集の牛歩研究からの14話とコロナ問題など」

                                 野村 政直 (平成15、経)

大阪を中心に関西ではコロナの第4波で病院が逼迫し、呼吸困難を訴えても救急車の中で待機を余儀なくされたり、自宅待機を余儀なくされたりというコロナ感染者には大変に困った状況が報告されています。軽症なら何とか自宅で回復を待てばよいでしょうが、医療機関に診て貰えない方の突然死がマスコミで報道されたりして社会不安が更に増大しています。今の職場では1年以上陽性患者の発生はなく助かってきましたが、ここに来て社内で1名のPCR陽性者が発生しました。幸い周辺ではクラスター発生までは行きませんでしたが、生産ラインを止めなくて済むように更なる注意が必要となり、より緊張感が増しています。欧米先進国と比べて遅れていた日本でのワクチン接種ですが、漸く65歳以上の方々へのワクチン接種が徐々に始まり、令和3年5月13日時点で約560万人へのワクチン接種が報告されています。ファイザー社が出している副反応の取りまとめを見ますと、2回目接種後では半数ぐらいの割合で倦怠感、発熱、頭痛などが出ている様で、症状なしで2回のワクチン接種を受けるのは半分ぐらいの人で難しい様です。それでもワクチン効果の方がそれらの副反応による様々な症状問題を上回り、重症予防の率は90%を超えてくる優れたワクチンと報道されています。また諸外国では2回のワクチン接種後には公共の場でのマスク着用なしで良いとか、飛行機搭乗用のワクチンパスポートも出されたりしています。日本では医療関係者への接種が優先され、その後高齢者への接種が始まり、暫くこの接種の加速が実行に移される状況となっています。一般成人への接種は8月頃からとなりそうで、地元自治体からの案内が届けば、直ぐに接種に行こうと思っています。ワクチン接種が遅れると更に感染力の高いコロナ変異種が蔓延ると言われ、インドからの変異種が今は心配されています。何とかワクチン接種が加速され、今年の年末までには国内でも2回のワクチン接種が行きわたり、新たな変異種リスクも減り、マスク着用なしで日常生活が送れるように国レベルの健康回復を切に期待するのみの状況となっています。

さて遅々としか進まない福澤全集解析ですが、今は何でも継続性が大切だと語られる面が多く、企業の仕事でもBusiness Continuity Plan(BCP) と言う側面にも関わっており、着実に継続性を実行することが価値を生むことに繋がるのではないかと思います。今回は全集の第4巻の文明論の概略、巻之1から幾つかの線を引いた個所を引用してみたいと思います。。

「文明とは人の安楽と品位との進歩を云うなり。又この人の安楽と品位とを得せしむるものは人の智徳なるが故に、文明とは結局、人の智徳の進歩と云う可なり」という文に下線を引いてみました。先生は文明開化について各種述べた後で、人の智徳の進歩により安楽と品位を得る事が文明開化と言えるのではないかと書いています。この文章が書かれた頃は明治新政府となり、欧米諸国の制度を急ぎ導入して社会が急速に変わっている時代で、後の世からも文明開化の時代と纏められており、明治初期は正しく文明開化を書き記すのが相応しい時代だったでしょう。そのカギとなる点について福澤先生は人の智徳の進歩と書かれた点に興味を覚えました。この「智徳」と言う言葉について辞書で調べてみますと、「智徳とは知恵と人徳。学識と徳行。仏語。仏の三徳のひとつ。仏が智慧によって一切のものを照らし見通す徳」と出ています。欧米先進国の優れた技術的・文化的・制度的な面などを急ぎ導入していた時代と思いますが、それはもしかすると表面的な事で、事の本質はこの智徳の進歩・進展こそが当時の文明開化、振り返ってみると現代の文明開化に通ずる根本的な追及点と言う考え方もあるのではないでしょうか。

続いてこの第4巻の文明論の概略の巻之一のp43の行13辺りで先生は「孔子も未だ人の天性を究めるの道を知らず、唯其時代に行はるる事物の有様に眼を遮られ、其時代に生々する人民の気風に心を奪われ、知らず識らず其中に籠絡せられて、国を立るには君臣の外に手段なきものと臆断して教を遣したもののみ」と書かれました。福澤先生は孔子による論語が書かれた時代考証を行い、幕末から明治維新、文明開化の時代に孔子の論語を読み解き、勉強する儒学や漢学は当時の日本の急変革に即するものではないと判断された様です。そして長崎留学でも積極的に蘭学を究め、江戸に出てからは一早く英語習得に切り替えられる等、柔軟性や時代の先読みがあったればこそ、今日でも広く日本社会から高い評価を得る実績を残せたのではないでしょうか。今の時代にこの辺りの文章を読み進めても参考になる点が多く、次の時代に役立つ調査・研究になる様に思います。

次に第4巻のP52行16辺りから下線を引いた記述がありました。「古来中国支那には實に礼儀の士君子ありて其事業称す可きもの少なからず。今日に至ても其人物乏しきに非ざる可しと雖ども、全国の有様を見れば人を殺し物を盗む者は甚だ多く、刑法は極て厳刻なれども罪人の数は常に減ずることなし。其人情風俗の卑屈賤劣なるは眞に亜細亜國の骨法を表し得たるものと云う可し。故に支那は礼儀の國に非ず、礼儀の人の住居する國と云う可きなり。」この段を読むに当り、明治初期の知識人が当時の支那に関して分析していた見方は、概ね現代の日本の大多数の知識人が持っている今の中国共産党による独裁国家感と相通じるものがあるのではないでしょうか。武漢のある場所から発生した新型コロナ感染症の取り扱いや情報統制についても世界中がこれほどの迷惑を被り、広く亜細亜人への偏見や差別が強くなっている実情があります。日本から見た中国共産党国家というものは14億の人民を抱える隣国なれども、欧米からの見方や評価と連動して厳しく当たるべき一事例が止まることなく進行中の困った感染症の蔓延実態と連動して様に思います。

さて慶応大学の最近の学内ニュースから、1つ気になった記事があったので紹介してみたいと思います。それは、2021年の4月20日付の記事で、慶應大学医学部皮膚科学教室の天谷雅行チームリーダー等が理化学研究所などとの共同研究成果を発表されたものでした。「皮膚表皮細胞の細胞死過程を解明-細胞内の酸性化が正常な角層形成に重要-」と題されたもので、皮膚表皮細胞の細胞死の過程を明らかにし、新しい細胞死「Corneoptosis(コルネオトーシス)」という新語を提唱されています。壊死に対する自然死として「Apoptosis(アポトーシス)」が話題になり多くの研究がその後進められてきましたが、今回の新しい研究によりコルネオトーシスと言う言葉が定義されています。サイエンスでは屡々新しい方向付けは新しい言葉の定義と共に進むことが多い様に思います。例えば京都大学の山中教授らによるiPS細胞の発見とその後の研究の進展はこの多分化能細胞の発見とその後の新しい医学治療研究に大いに役立っており、日本人の発想の素晴らしさと世界貢献を大いに示しました。今回の慶應大学からのコルネオトーシスと言う皮膚表面細胞の細胞死課程に関係する細胞死への命名はユニークな研究成果であると思い、少しここで紹介してみました。

今の化学会社の新しい話題としては地表面の熱を吸収する素材開発の紹介を少ししてみたいと思います。二酸化炭素ガスの問題は地球温暖化であり、日本政府も2050年を目標にカーボンニュートラル政策を打ち出しています。各化学会社はこの国の方針に沿った事業展開を図る必要があり、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が迫られています。化石燃料を使うことは二酸化炭素を排出することにつながりますが、これまではどうしてもエネルギーコスト削減の方が重視され、GXと言われるグリーン転換点は後回しになってきました。ESGやSDGs政策が民間企業の価値基準でも重要な側面となって来ましたので、まずは新たな熱吸収材の開発が少しずつの商品化に繋がり、次のビジネスとして伸びて行けるように、省エネ関連を企業の統合報告書などでも記述してみました。(野村政直:慶友三田会会長・石原産業社長室・医学博士)

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