野村13)福澤諭吉全集の牛歩研究その13・・・37号

「福澤諭吉全集の牛歩研究からの13話とコロナ対応など」

                       野村 政直 (平成15、経)

令和3年2月になり米国ファイザー社やモデルナ社のコロナワクチンの接種が欧米先進国を筆頭に急速に進み、最も進んでいる国の1つとしてイスラエルの実態がSNS等で報告されてきています。それによりますと、イスラエルの保健省は、100万人近くの医療記録を調査していて、そのうち74万3845人が60歳以上で、2回目のワクチンを接種してから最短でも7日間記録を取っているとの事。その結果、60歳以上で2回のワクチン接種を終えた約75万人のうち、検査で陽性となったのは0.07%に当たる531人だったと報告されている。イスラエルでは、このワクチンは実際に92%の有効性を示していると推測していて、これは米ファイザーが臨床試験で得た95%という数値に非常に近い結果を示している。1回接種でもある程度の予防効果が得られる抗体価の形成がみられるが、やはり2回目のワクチン接種により、確実にコロナ抗体が形成され、体内に新型コロナウイルスが入ってきてもそれに戦ってくれる抗体を十分に形成できているので、重症化することはなく、今の世界的なコロナ死亡は大きく改善される事が見えてきた。勿論2回目の接種の方が1回目よりも副反応が出やすくなるので、1回目はファイザー製、2回目はモデルナ製と言ったクロス接種の有効性も調べられている。何れにせよ世界的に今回のパンデミックの拡大から収束への分岐点に来ているかと思われるワクチン接種報道がコロナ死亡の増加と並行して連日マスコミ報道されている。

日本でも政府や厚労省の努力により、この2月中旬から医療従事者を中心に米国ファイザー製のワクチン接種が可能となる承認と流通確保が図られ、漸く収束への第一歩が見え始めたと言えそうだ。7月の東京オリンピック開催が出来るかどうかはこのコロナ感染の収束状況や、その管理体制次第で世界中からのアスリート受け入れが出来るかどうか、今後の各種目の予選会の開催ができるかどうか、この2月3月が可否の分かれ目となりそうだ。無観客開催の検討もされている様だが、折角チケットを購入している方々からすれば、可能ならば人数を絞ってでも観客を入れての開催が望ましい。最近はやたらと変異種の報道も続き、それなら海外からはアスリートだけの受け入れとして、人数制限をする観客は国内限定とすれば、今の第3波が収まって行けば十分に東京オリンピックは開催可能な状況になるかもしれない。3月には政府の判断が下される。

さて遅々としか進まない福澤全集解析だが、今は何でも継続性が大切だと語られる面が多く、多忙な会社業務を抱え、三田会会長としての週末の雑務もあるので、福澤先生の書かれた膨大な書物の分析は少しずつでも前に進めればそれで十分と思い、僅かずつの解析を進めている。今回は第4巻の文明論の概略、巻之1からとなる。漸く第4巻に入ることが出来た。

文明とは何ぞやとの概略を述べていく中で以下の先生の言葉に線を引いてみた。「事物の理を談ずるときには疑を発して不審を質すの勇なし。模擬の細工は巧なれども新に物を造るの工夫に乏しく、旧を修るを知て旧を改るを知らず。人間の交際に規則なきに非ざれども、習慣に厭倒せられて規則の体を成さず。これを半開と名く。未だ文明に達せざるなり。」

ここで文明に対して半開と言う定義を述べ、文明に達するには何が大切かを述べられている。即ち、不審を質問する大切さや、新しい物を造り出す工夫や、旧を改める努力の大切さが文明に繋がるとし、前向きな改善の必要性を述べられている。これらの中で特に旧を修るを知て旧を改めるを知らないのは半開とされている点に二重線を引いた。多くの事象でこれまでのやり方や管理が安定して行われているとどうしてもそれをより良く改善する工夫を発現するのが難しくなる。ここで先生は少しでも疑問に思ったら質問をし、自分で工夫をすることが次の文明に繋がると簡潔に述べられている。真にまとを得た文明論と言えるのではないでしょうか。

この頁28では国体についての論述があり、諸国の国体を述べ分析されている。中でも中国の国体の記述に下線を引いた。「志那には宋の末に国体を失うて元に奪われたり。之を中華滅亡の始とす。後又元を倒して旧に復し、大明一統の世となりたるは、中華の面目と云う可し。然るに明末に及びて又満清のために政権を奪はれ、遂に中華の国体を断絶して満清の国体を伸ばしたり。今日に至るまで中華の人民は、旧に依て言語風俗を共にし、或は其中に人物あれば政府の高官にも列することを得て、外形は清と明と合体の風に見ゆれども、其實は中華南方の国体を失うて北方の満清に之を奪われたるものなり。結局国体の存亡は其国人の政権を失うと失わざるとに在るものなり。

清王朝が倒れた後、欧米列強による浸食を受け、第二次世界大戦後の共産党支配による中華人民共和国となって国が安定し今に至っている。日本は多くの場面で中国の国体の変遷に関わってきているが、地政学的に隣国としてお互いに影響を強く請け合う近隣国なので、今後共その国体の変化には大きな注目が必要と言えよう。

さて慶応大学の最近の学内ニュースから、以下の注目される記事があったので報告してみる。慶應義塾大学医学部整形外科学教室の引實助教と国立がんセンター研究所情報分野・連携研究室の増田万里主任研究員らの研究グループは2020年2月5日、ヒト骨肉腫細胞を調べていく中で、特定の遺伝子を抑制することで、その骨肉腫細胞が正常細胞の1つである脂肪細胞に変化することを発見したと発表した。また、国立がん研究センターとカルナバイオサイエンスの共同研究で得られた低分子化合物を用いることで、同様な変化が起きることも報告された。これらの研究は骨肉腫のメカニズムを解き明かし、新しい治療薬の開発つながると期待できる。脂肪細胞も骨芽細胞も同じ間葉系組織から発生してくるものであり、異常な分化形態となってしまった骨肉腫細胞のある遺伝子を抑制することで、分化を戻し、正常な脂肪細胞へと変えることが出来れば、今後更に間葉系細胞から起こる難治な肉腫を治療するのに新しい方法として各種応用されていく可能性がある。今後共注目していきたいニュースと思えたので、今回その塾からの話題を掲載してみた。今回のパンデミックの経験により、がん研究は助成金も多いのかより進んでいるようだが、次のパンデミックが軽く収まる様に国際的な協力の下、日本でも様々な感染症の専門家が増えてほしいものである。特にマスコミ報道はより正しく、より広範な視野に気を配る必要があり、特に死に至る感染症の恐怖がある今のコロナ禍では中途半端な情報分析と、その拡散は駄目なので、マスコミに進む学生さんにも感染症に対する勉強を学生の時からしておくのは良いのではないかと思う。

別の視点として、化学会社の昨今の話題としては二酸化炭素の削減に繋がる代替エネルギー開発と、マイクロプラスチック削減に繋がる代替物質の開発が加速されている。これらのグリーントランスフォーメーションは、新たにGXと称せられるようになり、デジタルトランスフォーメーションのDXに対して、GX政策がマスコミに良く登場する。現在社長室の仕事としてこれらの変化を加速し、収益に繋げ、株主にそれらの情報を公開する「統合報告書」の作成に関わっている。これまではCSRレポートが主流となってきていたが、昨今はSDGsやESGの進展により、ステークホールダー全体に企業価値の向上を説明する資料が求められ、この「統合報告書」が注目を集める様に変わってきている。良い組織か、余り良いとは言えない組織かの公平な評価書として「統合報告書」が投資家などから注目される様になってきているので、社長室の仕事の1つとして、それも担当している。時代の変化は早く、次の文明に繋げて行くためには、やはり旧いものの上手な改善や改良が一番効率的で、継続性に繋がるので、安定して継続し、更に次の時代に変化していく対応が求められている。(野村政直:慶友三田会会長・石原産業社長室・医学博士)

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