野村10)福澤諭吉全集の牛歩研究その10・・・34号

「福澤諭吉全集の牛歩研究10と、今のコロナ禍について

                       野村 政直 (平成15、経)

日本では新年度となり令和2年度が始まりました。しかし今年初めから突如降りかかった新型コロナ感染はいまだ収束に向かう事なく、世界中に拡散し続けています。当初はインフルエンザの軽いもの、温かくなれば収まるので一時的な懸念でしょうと甘く見られていた感があります。それが今や人々の健康を重篤な肺炎で害し、経済を滅茶苦茶にし、第二次大戦後最悪の世界状況となっています。専門家はこのコロナウィルスは徐々に、かつ確実に拡大するので大変性質が悪いとも述べます。昨年末に誰が今の惨状を予想できたでしょう。感染源の武漢の医師たちはSARSの経験から直感的に危ないと直ぐに感じたようですが、その情報は消されてしまいました。日本では海外からの訪問客が中国や東南アジア諸国からを中心に3000万人を超え、経済は順調に伸びていました。それが、4月11日の時点で世界での死者10万人、感染者数169万人とも報道され、NY州では17万人の感染者数が新聞に載ってきています。日本でも感染者数が7000人近くとなり、SNSのラインでの国内2400万人への緊急調査では、発熱が続いていて体調の悪い人が2万7000人居るとも報じられています。生産現場で感染者が出ると、製造ラインが止まってしまうリスクが日々高まっていて、多くの製造業企業が戦々恐々となっています。海外出張どころか国内での出張移動も出来ない状況です。

欧米主要国の政治主導者は、この状態は新たな戦争状態であるとも語ります。米国やイタリア、スペイン等々の主要都市はロックアウトと呼ばれる街の封鎖に至っていて、毎日多数の死者や感染者数の増加が報道されています。日本でも東京や大阪、横浜、福岡等に非常事態宣言が出されました。感染源の武漢や中国全土では増加は止まり、6割程度の経済活動再開も報じられていますが、世界中のマスコミが中国からの報道に疑念を抱いています。

中国武漢での発症に幾つかの説がありますが、仮に通常は食しないものを現地の人たちは食べていた事がウィルス感染の源泉であるにせよ、SARS感染や、MARS感染に次ぐ、いやそれ以上のこの突然のCOVID-19コロナ禍を収めようと世界中が必至の状況です。中国人へのアンケート結果では人工ウィルスと報道されています。武漢のウィルス研究所で作られた人工コロナウィルスによる感染とすると中国政府の責任はどう糾弾されるのでしょうか。何とか食い止めて、少しずつでも生活を元の状態に戻さないと、ものの流れが止まってしまっていますので、通常の経済活動が大ダメージとなったままです。特に人が集まる飲食業や、イベントや、会合は全て延期や中止となり、スポーツイベントも全て中断されています。春の高校野球が中止となったのは残念でした。株価は各国政府が中央銀行を使って支えていますので暴落は避けられていますが、実態的にはブラックマンデー並みかそれ以上に暴落してもおかしくない経済状況といえると思います。

慶應大学でも卒業式や入学式が取りやめとなり、晴れの卒業や入学を果たされた塾関係者の無念さは大きいと思います。秋の連合三田会も中止となりました。衛生状態の良さと規律を守る国民性から、日本ではまだ新型肺炎の発生数や死亡数は欧米諸国ほどではないですが、それでも徐々に増え、遂に首都圏を中心に非常事態宣言となりました。今年東京に就職した娘も既にテレワークシステムを使って、自宅勤務を余儀なくされています。肝心な病院関係者が対応できなくなるレベルまで行ってしまうと、コロナ患者以外の治療が十分に受けられず、医療崩壊が危惧される状況です。欧米主要国では既に医療崩壊が起こっているとも報道されています。このコロナ肺炎は重篤患者となると2週間程度で死に至っている例も多数報告され、コメディアンの志村けんさんもあっという間に亡くなってしまいました。

不要不急を控え3蜜を避けるとの政府方針ですが、日々の仕事や生活において、ある程度の移動と人の交流は欠かせない面もあり、仕事や生活に困る状況が続いています。幸い今は公共交通機関を使うことなく車で出勤し、会社の職場環境も広めのフロアに少人数で働ける場所で勤務できていますが、それでも昼食時には距離を置いて食べ、会話はマスクを着用しています。街中では殆どの人がマスクを着け、この品薄が続いています。家では家内が勤務先の関係で連日、布マスクをボランティアで作成しています。

こんな状況下、それを無視して個人的な福澤諭吉全集研究を続けているのは、心情的には憚られる状態かもしれませんが、ウィルスの猛威対策に個人的に協力できることは全て実行しながら、本原稿を書いています。家での活動が強く推奨されていますので、個人的な調べものと書きものは逆に望まれる作業とも考えます。いつも本寄稿では最後に触れている、今の仕事や塾の理系話題は、余りにも今のコロナ禍が激烈なので、冒頭での状況概観にて一括述べた事にしたいと思います。今年の夏ぐらいまでには何とか収まる方向に向かってほしいものです。そうでないと、折角1年の延長となった東京オリンピックも中止となる懸念も残るほどの惨状が続いています。

今回は英人チャンブル氏著のモレルカラッスブックと題せる書を翻訳して童蒙の読物に供した「童蒙おしへ草」からです。その巻の三の第14章 仁の事と題された所から学んだ点を纏めていきます。全集では第三巻の頁227になります。先生の訳では「人々相互に其よきことを願う心あれば、自ずから他人の為すことを見てもこれに情をかけ、言葉使いとても柔かになるものなり。我より彼に柔かなる言葉をかくれば、彼も亦その心和らぎて、他人へ親切を盡すようになるべし。さのごとく由りて、得可きものにも非ず、唯其人の活発なる才智の働と正直なる本心の徳義とを以て次第に積で得べきものなり」。とても含蓄のある文章と思い読み進めました。如何に才智があろうとも、不活発な活動では人望は得られませんし、才智のないままの変に活発な活動では直ぐに嫌われてしまうでしょう。また正直なる本心の徳義を積み上げる努力がその人の人望に繋がるとの文章は学習を続ける者たちに勇気を与えます。他人を思いやり、繰り返しの積極的な活動が、少しずつその人の人望を高めていく過程になるのだと読み進めました。

この第三巻の頁253では、モセス・ロスチャイルドの事が和訳されて紹介されています。ロスチャイルドは1800年代の初め、フランクフルトでお金を預かったが、敵の侵入にあい、自分のお金は取られてしまった。それでも人から預かったお金は守り通し、戦後自ら利息をつけて全額返すことができた。この美談はヨーロッパ中に広まり、ロスチャイルドは大いに信頼される様になり、5人の息子たちはロンドン・パリ・ウィーン等にて活躍しました。その結果、ロスチャイルド家は繁栄することが出来ました。特にロンドン家とパリ家は現在までその繁栄を残していて、ロンドン家のシンジケートは関東大震災後の復興融資を通じて、日本経済にも深く浸透しました。この様な美談を原文から翻訳され、人々の経済活動における指針を明治の混迷期に書き残されています。細か著述を辿っていく作業では、ベストセラー的に売れて話題として取り上げられている業績だけではなく、先生の些細な点での考え方、心情を垣間見ることにもなり、一層に福澤先生の人となりに触れることが出来、一般通念以上に興味を惹かれる内容がそこかしこに見受けられます。

それでも今はコロナ禍が余りにも心配で重要な社会問題となっていますので、今回の先生の著述集からの研究報告は簡単にし、明日からのコロナ対策に更に対応を進めて行きたいと思います。また、三田会からの各種情報も同窓会活動から入ってくるので、職場でそれらも水平展開して、感染拡大の防止に役立てています。

(野村政直:医学博士・慶友三田会会長・石原産業社長室)

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